女性のエンパワーメントについて議論 in プレトリア大学

こんにちは!上智大学アフリカ文化の会(通称SACC: Sophia African Culture Club)です!

 

前回の記事では、南アフリカ共和国(以下、南アフリカ)での短期研修で出会ったケープタウン大学に通う学生のお話について紹介させていただきました。

(前回の記事はこちら↓)

 

今回は、研修の後半で出会ったプレトリア大学の学生とのワークショップについて紹介します!

プレトリア大学

プレトリア大学は、前回紹介させていただいたケープタウン大学と同じく公立大学です。

 

特徴の一つに、日本研究センターがあることが挙げられます。

 

プレトリア滞在中は日本研究センターの職員の方々に手厚いサポートをしていただきました。

(プレトリア大学日本研究センター)

 

キャンパスツアーにも参加しました。とても広大で素敵なキャンパスには、講義棟の他、教会や医療センター、学生食堂、寮などの施設が充実しており、まるで1つの街のようでした!

 

(キャンパス内の教会)

 

(メインキャンパスにて集合写真)

 

さらに、マメロデキャンパスというタウンシップの中にあるキャンパスにも訪問しました。

 

タウンシップとは、南アフリカのアパルトヘイト政策によって都市近郊に設けられた黒人居住区のことです。現在でも住人の多くは黒人で貧困に苦しむ人が多い地域です。

 

マメロデキャンパスでは、ビジネスや服飾などの講義があり、直接職につながる知識や技術を学ぶことができるという印象を受けました。このキャンパスで所定の単位を取得できれば、メインキャンパスに通うこともできるようになるそうです。

 

また、地域に密着したキャンパスでもあり、図書館を一般の方に開放していたり、無料で地域の高校生の宿題を手伝っていたり、と地域貢献活動も行なっているようです。

プレトリア大学女子寮学生とのワークショップ

プレトリア大学では、女子寮の学生とワールドカフェ形式でのワークショップを行いました。プログラム参加者が全員女性だったということもあり、女性のエンパワーメントをテーマに議論を交わしました。

 

南アフリカ共和国は、ジェンダーギャップが比較的小さな国です。2017年のジェンダーギャップ指数のランクは、日本が114位であったのに対して南アフリカは19位でした。

 

このように統計上から違いが見受けられる日本と南アフリカですが、どのような価値観の違いや共通点を見つけられるのかを楽しみにこのワークショップに参加しました。

 

今回のワークショップでは、以下の5つの質問事項を軸に意見を交換しました。

 

5つの質問
  1. 女性は女性であることを理由に自分自身を制限することがあると感じるか?
  2. 成功の定義とは何か?
  3. 女性として、どのようなキャリア形成ができるだろうか?男性と比べて制限はあるだろうか?
  4. 女性は女性であるがゆえの困難を乗り越えることはできているのか?
  5. 現代の社会において、働く女性は仕事・家族・社会生活のバランスをどのようにとることができるだろうか?

 

テーマに沿って意見を交換するうちに、南アフリカでも日本と同じような課題や問題意識を抱えていることがわかりました。

 

日本では、“男性は外で働き女性は家庭を守る”という伝統的な考え方が未だに残っていると感じることがありますが、それは南アフリカでも同様であるそうです。

 

また、女性ならではのライフイベントがキャリア形成にどのように関わってくるのかについても意見を交わしました。

 

出産や子育てを経験する女性は、家庭と仕事との両立が難しい。

 

これは、プレトリア大学の学生と共有した認識のひとつです。

 

「出産や育児を終えたあと、元の職場に戻ることはできるのか。」
「仕事と家事の両立をするうえで、男性と家事の役割分担をバランスよく行う必要があると思う。」

 

など、日本でも課題となるような点についてたくさんの意見が出ました。

 

(意見交換の様子)

 

このように意見を交換するなかで、特に印象に残った発言を紹介します。

男女平等をゴールに掲げている人は野心に欠けている。
男性と同等、または、それよりも上の地位につくことだけを目的としてはいけない。
自分自身のベストを尽くすことが最も重要なのである。

「どのようにしたら女性の地位を向上させることができるのか?」ということについて議論していた時のある学生の発言です。

 

彼女は、まず自分が向上心を持ち続けることが大切なことであると言いました。そうすることで自ずと力をつけることができ、結果として女性の地位向上につながるというのです。

 

男女平等について考える上で、新たな視点に気づかせてくれた貴重な意見でした。

 

また、伝統と文化は同じものではないという面白い意見もありました。

 

「女性は社会規範によって自らの将来の選択肢を狭めてしまっているのではないか?」をテーマに話しているときに、その社会規範は破ることができるのか、という話になりました。

 

そもそも社会規範とは何を指すのか。

 

この話し合いでは、CULTURE(文化)とTRADITION(伝統)の2つが挙がりました。

 

そこで、文化は自分自身が育ってきたことそのものを示す概念なので大切にしたほうが良いが、伝統には縛られる必要はないという意見が出ました。

社会状況の変容に合っていない伝統があるという認識のもとでの発言であり、伝統はこわしていけるのだという考え方が印象に残りました。

 

CULTURE≠TRADITION

 

理解しているようでしていなかったこれらの言葉の意味の違いについて考えさせられました。

 

このようにワークショップを通して、日本と南アフリカの共通の課題を見つけると同時に、新たな考え方を知ることができ、とても充実した時間を過ごせました!

 

(各テーブルの意見を全体で共有している様子)

 

研修を終えて

2週間という短い期間でしたが、南アフリカの大学生と話す機会があったことで、学生が感じている現代の南アフリカ社会の課題について学ぶことができました。

 

また、それらの課題を自分たちの力で変えようと行動を起こす姿勢に刺激を受けました。

 

そして、本プログラムでのこれらの経験に触発され、大学の交換留学制度を利用して南アフリカへ1年間留学することを決めました。新たな思考形式や価値観に触れ、学びを深めたいと考えています!

 

前回の記事と今回の記事で、熱い心を持った素敵な南アフリカの大学生のことを少しでも身近に感じてくださると嬉しいです!
最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

次回は南アフリカの観光地についてご紹介させていただきます。お楽しみに!

 

 

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