ベナンの「貧困の連鎖」を断ち切れ!サンダルがつなぐ国際協力

ALL ABOUT AFRICAをご覧の皆さん、こんにちは!

 

現在、東京都の教員(現職参加)として西アフリカのベナン共和国で青年海外協力隊として活動している高田裕行です。

 

「教科書を超えた教材になる」「教室から世界を変える」をモットーに、日々の教育活動に励んでおります。

 

前回のベナンでの「算数の授業」記事はこちらから👇

 

 

日本の中学生と共同して実施したパーニュが繋ぐ国際協力—ザポタ小学校と荒川中学校の生徒が起業家教育の手法を通しSDGs「1.貧困」の解決を目指す国境を超えた共同プロジェクトについて紹介したいと思います。

 

高田
ちなみに、パーニュとは、西アフリカにある伝統的な生地のことで、ベナンでは主に民族衣装として活用されています。

 

「貧困の連鎖を断ち切る!」プロジェクト概要

 

ベナン共和国の小学校修了率は、一昨年までは77%でしたが、新政権の発足も影響して昨年は、40%まで落ち込んでいます。

 

また、小学校を中退する児童も多く、学年が上がるにつれて、生徒数は減少傾向にあります。その主な要因としては「貧困」が大きく影響しており、教育の機会が十分に保証されていないことが大きな課題になっています。

 

そして、教育の機会が保証されないことによる影響は、あらゆる場面で見受けられます。

 

子ども達は、外国人を見かけると、「ヨボ(白人という意味)お金ちょうだい」と金銭を要求し、金銭ばかりではなく、食べ物や道具など様々なものに対して日常的に物乞いをします。

 

教育が受けられないことで、読み書きができなくなり、仕事に就くことが困難になったり、もし仕事につけたとしても低収入の中での暮らしを強いられ、十分な食べ物も買うことができず、栄養もとれなくなります。

 

その結果、病気にかかったり、稼ぎを増やすために自分の子供を働かせるため、その子供も学校に通えないという「貧困のサイクル」を少しでも改善したいと考えています。

 

そのような「貧困」の現実から抜け出す一つの方法として、子供達に「お金を稼ぐ」という経験を通して、自立のヒントを与えたいと思い、始めたのがこのプロジェクトなのです。

 

日本向けの製品をベナンの小学校で企画する!

 

ベナンの子ども達は、日常的に生産や販売に関しては親の手伝いとして仕事をこなしている子どもが多いです。

 

そこで得た知識をもう一度理論的に学び直し、「どのような製品が誰にだったら売れるのか?」など、起業家教育をベナンのザポタ小学校6年生を対象に実施したいと考えています。

 

「起業家教育」とは、近年日本でも注目されている教育活動であり、会社設立の過程、モノの仕入れ、生産から流通消費までの一連の流れを児童生徒に学ばせ、実際に「製品」を作り「利益」を獲得し、その利益を「自分たちでどのように使うのか考えさせる」というものです。

 

製品は日本人に売るということを説明し、「どんな商品だったら日本人が買ってくれるか?」「仕入れ代や輸送代はいくらかかるか?」などについて学習します。

 

今回はパーニュを使ったサンダルを製作します。

 

作られた製品は、荒川中学校の生徒会が中心となって地域バザーで販売します。

 

荒川中学校での出前授業

 

荒川中学校は、昨年度国際理解プレゼンコンテストで賞を受賞し、国際理解に対する関心が非常に高く、常に社会に開かれた学びを提供する新潟をリードする学校です。

 

生徒達のベナンの貧困に対して「主体的な社会参加」を通じ、その解決を目指していく作業そのものが深い学びにつながり、そのような行動を、教室を超えて地域の方がたに知ってもらうことで、これからの時代をリードする日本の子ども達に、世界の問題を自分の問題として、その解決に向けて取り組んでいく態度を育成することができるものだと信じてます。

 

荒川中学校は、このバザーに向けて、

  • 全校生徒へのプレゼンテェーション
  • マーケット調査の方法を学ぶために「グローカルマーケティング」という企業から出前講座
  • さらに2019年7月に私が一時帰国したタイミングで「青年海外協力隊員によるベナン出前授業」を行いました。

 

日本の中学生がベナンの貧困に対して「社会参加」を通して、その解決を目指していく国境を超えたプロジェクトになっています。

 

サンダル製作の授業を大公開!

 

ベナンの子供達が授業を通して、学んだことが実社会の中で評価されたという成功体験を実感させ、彼らが成長し、大人になった時に「貧困」から抜け出す上でのヒントを一つでも多く与えたいと考えています。

 

まずは「生産」から「流通」、「消費」の流れを買ってきたサンダルで説明し、利益を生み出す流れを確認後、パーニュを使ったサンダル制作します!

 

製品が汚れないように、まず手を入念に洗わせ、丁寧に制作しました。

 

 

そして最後は値段設定の話し合い。

 

最終的に先生が決めるというベナンらしいアクシデントもありましたが、児童も納得し、日本円で200円に決定!

 

 

この200円という価格はベナンでは約1000CFAとなり、これだけあればザポタの小学生は1ヶ月分の昼ご飯が食べれるくらいの価格です。

 

高田
しっかりフランス語を準備して、先生と打ち合わせを重ねたことが大きかったです!

 

そして、何より子ども達の表情が今までで1番真剣でした。

 

「お金」を稼ぐという、外発的な動機付けではあるものの、「生きるために学ぶ」ということの意味を子ども達から教えてもらった気がします。

 

2019年10月20日国際協力バザー開催されました!

 

中学生が行った国際協力バザー。

  • ベナンの子どもたちが制作したパーニュサンダル27足
  • 中学生が制作したバンダナ17枚
  • シュシュ18個
  • ティッシュケース25個

何とオープンから2時間20分で完売しました!

 

その後も、掲示物を見て足を止め、募金してくださる方々が多く、とてもありがたかったです。

 

「ベナンてどんな国なの?」
「ベナンと中学生が繋がったきっかけは?」
「マーケティングを中学生が学ぶってすごいね!」
「自分が中学生ときにもこういう活動をやりたかったな。応援しています。」

などなど、たくさん声をかけていただき、1日を終えた中学生の表情は充実感に溢れていました。

 

売上金33,200円と、募金8,225円で学用品を購入し、ベナンの子どもたちに届けます。

 

ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

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