クリップタウンで出会った子どもたち

初めまして。

 

タイガーモブのAfrica Diversity Camp in Johannesburg 1st batch に参加させていただきました、池 柚里香(いけ・ゆりか)と申します。

 

私が行ったのは、南アフリカのヨハネスブルグ。そう、「治安が悪い」と散々に言われる、あの場所です。

 

渡航前は色々とネットで調べてしまって、正直言ってかなりビビっていました。でも、実際にいったヨハネスブルグの街には、人生を豊かに生きるためのヒントがたくさんありました。

 

実際に行ってみないとわからないこと、出会えない人がいる。

 

今日は、そのことについて皆様にお伝え出来ればと思います。

ヨハネスブルグってそんなに治安の悪いところ?

出発前の散々な悪い評判

「 南アフリカ行ってきます!」

 

と周りの人に言った時、十中八九帰ってくる反応は、「そんな危ないところに何しに行くの?」みたいな感じです。

 

そしてヨハネスブルグに行くと更に説明すると、「絶対やめとけ」と止められたり、「君のことは忘れないよ…」と笑えない冗談で、今生の別れを告げられたりします。

 

根拠のない楽観主義でまあいけるよね!と色々切り抜けてきた自分ですが、皆の青い顔を見て流石にちょっと怖くなり、ネットで恐る恐る「南アフリカ 治安」とサーチしてみると…

 

「ヨハネスブルグは世界一治安が悪い凶悪都市!」
「時計をしていると腕ごと切り落とされて盗られます!!」
「死にたい人にオススメ!!!」

 

などと、とんでもない記事が出てきたりします。

 

顔を引きつらせながら、「無事に帰って来れるように!」と祈りつつも、腹をくくって行くしかないと覚悟を決めての出発。

 

いざ南アフリカに到着

しかし、私のこの覚悟は到着早々、空港からホテルへ向かうタクシーの白人の運転手さんの言葉で打ち砕かれることに・・・。

 

君たちは南アフリカ初めてか?悪いことは言わないから別の宿を取ったほうがいい。この辺は自分だったら絶対に近づかない、ヨハネスブルグの中でも一番危ないエリアだよ!

 

と言いながら、つい最近起こったという暴動の動画を見せてくれました。

 

車内の一同は「えええええ、これやばいよ!どうしようどうしよう!」と軽いパニックになる車内。

 

 果たして、私たちを乗せたタクシーが着いた先は・・・

 

 

嘘みたいに、落ち着いていて綺麗でオシャレなところでした。

 

逃げるように走り去った運転手さんをよそに、タイモブのスタッフの伴さんや宿のスタッフさんは苦笑いで、

 

ここMaboneng(マボネング)地区は再開発が進んでいて、24時間セキュリティーも万全だから、そんなに心配することはないよ

 

と教えてくださいました。

 

散策してみると、なるほどストリートアートや音楽が町中にあふれ、カルチャーの発信地として多くの人が集まる場所のようでした。

 

 

 

6日間このエリアに滞在しましたが、危険を感じるようなことは一度もなく、この時の「みんなが恐れているイメージ」と「実際に見たもの」のギャップは衝撃的な記憶として残りました。

 

前評判でチャンスを逃さないで

 確かにヨハネスブルグの治安は、お世辞にも良いとは言えないと思います。

 

滞在するエリアによって安全度も変わってきます。私たちの滞在していたマボネング地区の一つ向こうの通りは、Jepethtown(ジェペスタウン)という治安の悪いエリアでした。

 

夜遅くに外出しない、一緒にいる人たちから離れない、など当たり前の注意を常に払う必要はあります。

 

しかし「危険すぎるから」とか「怖いから」という理由でアフリカ行きをためらっている方がいるなら、私は絶対に何はともあれ行ってみることをおすすめします。

 

リスクを恐れてこの経験を得るチャンスを失うのは、とてももったいないことだと、プログラムを終えた今だからこそ強く感じているからです。

 

実際に自分の目で見たヨハネスブルグ

ポンテタワーからの眺め

 

では、実際に思い切って来てみたヨハネスブルグはどんなところだったのか、そして南アフリカという国で何が起こっているのか。

 

5日間様々な視察をした結果、一貫して目の当たりにし、痛感したことがあります。

 

それは、あらゆるところで顕在化する「格差の大きさ」です。

 

ヨハネスブルグには、様々な人種の人が行き交い、大型ショッピングモールや高層ビルも立ち並ぶ非常に栄えたエリアが存在します。

 

441Stanley

 

それはまさに、南アフリカの「民族の融和をスローガンに掲げるレインボー国家」「アフリカ大陸唯一のG20加盟国」としての顔を体現するかのようで、現在も日々街は成長を続けています。

 

でも、一歩中心部の外に出ると…

「タウンシップ」と呼ばれる貧困地域が広がり、日々の暮らしに困難を抱える人々の現状を目の当たりにします。

 

 

十分な電気、水道もなく、東京でいうとワンルームのアパートほどの広さの住居(トタンでできていて夏はとても暑く冬は厳しい寒さになるそう)に7人を超える家族で暮らしている、という生活をいまだ多くの人が送っているのです。

 

 

現実離れした落差・・・

ヨハネスブルグの夜景

飛行機から見たヨハネスブルグの夜景

 

その一方で、国内の9割もの土地を1割の白人層が所有していて、監視カメラ付きの豪邸が立ち並ぶエリアや、賑わうきらびやかなレストラン街があります。

 

移動中、車窓から見える夜景も眩く光るところ、一点のあかりもなく真っ暗なところがちぐはぐに映ります。

 

まるで「先進国の中に途上国があるみたい」な、現実離れした落差です。

 

白人の人たちしかいない所、黒人の人たちしかいない所を見ることもよくあり、初日の運転手さんのように間違ったイメージを持ったまま、他のコミュニティーと関わろうとしない人もいまだに多いという印象を受けました。

 

彼らの視点は、事情をよく知らない日本人が「アフリカ=怖い」と考えるのとも少し似ています。

 

「知らない」ということは「怖い」という気持ちに繋がり、ひいては差別感情を生み出してしまうことにもなりかねない。

 

混ざり合っているようで、まだ見えない「壁」が確かにある、と感じました。

 

「治安が悪い」というイメージの背景にあったもの

アパルトヘイトミュージアム

市内のアパルトヘイトミュージアム。渡されたチケットに書いてある人種の入り口へ。政策が追体験できます

 

では、南アフリカの社会にこれほどまでに深く影響を及ぼす格差をもたらし、そして諸々の問題を引き起こす原因になったものとは何だったのでしょうか。

 

その答えは、やはり「アパルトヘイト」という政策にあったのではないかと思うのです。

 

この政策が一握りの白人たちを優遇し、国民の大多数を占める黒人の様々な権利を侵害するものであったことは有名です。廃止されてからまだわずか25年、その深い爪痕を感じずにはいられません。

 

黒人層の人々から英語や理数の教育、高等教育を受ける機会を奪う「バントゥー教育」の結果、十分な教育を受けられなかった人々は満足な職に就くことが出来ていません。

 

「ソウェト蜂起」などの抵抗運動やアパルトヘイト廃止後の対応によりこの格差は埋まりつつありますが、それでも南アフリカの現在の大学進学率は22.37%(104位/155カ国)。

 

そして失業率はなんと約30%若者に限っては50%にまで上ります。

 

積み重なる問題たち

生活の不安定さは時として人を犯罪行動に導きます。

 

近隣の諸外国からの移民や不法滞在者の都市部への流入も増え続け、ダウンタウンの治安は悪化、彼らに就職の機会を奪われたと考える人々による外国人排斥運動も増加しています。

 

極め付けに政治家たちの汚職により、必要なところに十分な資金が行きとどかないために、これらの問題に対する対応は後手に後手にまわってしまっているのです。

 

ヨハネスブルグで生きる人々

SOWETOにて撮影

 

ここまでなかなかにヘビーな内容となってしまいましたが、そんなネガティブな側面もあるこの国で生活している人々が、いつも暗い顔で下を向いているのかというと…

 

ぜんっぜんそんなことありません!!

 

会う人会う人、みんながとても明るいのです。道ですれ違っただけの人も朗らかな笑顔で「ハロー!」「ニイハオ!(おしい!)」と挨拶を交わしてくれます。

 

クリップタウンで出会った子どもたち

 

また、彼らはただ能天気に笑って暮らしているというだけではなく、自分たちが直面する厳しい問題に対して正面から向き合い、自分たちの力で現状を変えていこうという熱いエネルギーにあふれています。

 

例えば、「ソウェトのゲストハウスのサイクリングツアー」新しい観光のあり方から地域の活性化を図っています。

 

 

タウンシップの中でも、特に貧しいクリップタウンという地域で子供達に十分な食事と教育の機会を与えるために活動しているNPO法人KLIPTOWN Youth Program

 

 

 ギャングの拠点として悪名高かったポンテタワーも、今では託児所やヒルブロウを散策するツアーもあります。

 

 

ポンテタワー内部のコミュニティセンター

 

ポンテタワー内部のコミュニティセンター

 

LGBTQの人たちの支援と啓発に尽力するプレトリアのNPO団法人AC2南アフリカの憲法は世界一民主的と言われており、彼らの活動の理念を支えています。

 

講演の様子

 

 宿で出会ったトランス女性。彼女自身LGBTのアクティビストであり、とてもユーモラスで素敵な女性でした。

 

宿で出会った女性と一緒に撮影

 

かつて優遇される側であったアフリカーナー(現在のオランダのあたりにルーツをもつ"白人"のこと)の方からアパルトヘイト当時のお話を聞く機会もいただきました。

 

アパルトヘイトに関する講演

「壁」がある、と実感した一方で、それを打ち壊し新たな価値を築いていこうとされている方々がたくさんいます。
人種、性別、文化、様々なバックグラウンドを持つ人々が尊重し合いながら共存しようとしている社会を見ていくうちに、本当の「多様性」とは何なのかについても、とても考えさせられました。

 南アフリカのポジティビティの源泉とは?

街の人たちに聞いてみた。

ボツワナにて

南アから帰国して2週間後にまたアフリカに行きました。

 

夏休みの間の限られた短い間でしたが、たくさんの施設や人を訪問し、現地の方々と会話を重ねていると、「南アフリカの人たちにはなぜこんなに明るく前向きなバイブスに満ちているんだろう?」という素朴な疑問が湧いてきます。

 

教育なんじゃないかな。学校や家庭で、大人たちはみんな子供に『ネガティブなものをポジティブなエネルギーに変えていけ』と教えるんだ。

 

空港に帰る道すがら、マイクロバスの運転手のおじさんに疑問をぶつけてみると、彼は気さくにそう答えてくれました。

 

いまの「大人たち」と言えば、アパルトヘイトを経験し、差別や闘争、様々なネガティブなことを乗り越えてきた世代。

 

そんな人々がそれでも前を向いて生きるよう教えを説いているということには、とても重みがあると感じました。

 

彼らの愛すべきリーダーであるネルソン・マンデラ氏の思いが、今も彼らの中で生きているのかもしれない…とふと思いました。

 

マンデラハウスの前にて撮影

 

マンデラハウスには常に多くの人が詰めかけます。

 

滞在中、泊まっていた宿の経営者さんと偶然お話しする機会があったのですが、

 

ここでは抱えてる課題も多いけど、誰もが世の中のことに関心を持ち、自分にできることを最高の形で世の中に還元しようとしているんですね。

と伝えると

僕たちは不平等な圧力に対して立ち上がり、自分たちの力で歴史を変えたということに誇りを持っている。
“自分次第で現状は変えていける”ということを身をもって知ってるんだ。

と、酔っ払ってたのであんまり覚えてないかもしれませんが、熱く語って下さいました。

 

宿の店主と一緒に

 

隣に座っていたお兄さんもウェブメディア系の会社を経営している方だったのですが、

自分で会社を経営するって学生の自分には想像つかないくらい大変なことがいっぱいあると思うんですが、どうして今の仕事をするに至ったんですか?

と尋ねると、

うーん何でだろう。確かに大変なことはたくさんあるけど、ヨハネスブルグは起業家のためにあるような街だ。友達やいろんな人の助けもあって、仕事に対する情熱や取り扱ってるものへの愛だけでここまで10年突っ走ってきたよ。

と微笑んでいました。

 

南アフリカ式BBQ、Braai

 

滞在最終日の夜、伴さんとパートナーのBuntuさんが開いてくださったBraai(南アフリカ式のBBQ)の時は、親族の方がたくさん集まって温かく迎え入れてくださり、

 

どっから来たかもよくわからないような私達をこんな風に受け入れてくれてありがとうございます。

と伝えると

そんなの当たり前のことよ!

とびっくりされました。

 

家族やコミュニティー間の結びつきの強さ(日に何度も家族と電話をしている人もよく見かけました)と共に、新しい人にも偏見なく扉を開いてくれるオープンさを感じました。

 

南アフリカで感じた、心の豊かさ

Witsビジネススクールにて

 

日本に帰国してからよく目につくのは、朝の電車の中、疲れた無表情な顔でスマホの画面に張り付く人たち。目の前で持ち物を落として立ち止まった人に歩くペースを崩されて舌打ちする人、泣いている赤ちゃんを迷惑そうに睨む人…。

 

日本は資源こそ少ないけれど、平和で恵まれた先進国です。でもそこに生きる私たち日本人は、心の豊かさをちゃんと持ち合わせているでしょうか?

 

私は、自分自身に以下のことを問いかけた時、正直ドキッとしました。皆さんはいかがでしょうか?

 

  • 毎日心から笑っているか
  • 笑顔で誰かと挨拶を交わしているか
  • 家族と連絡を取っているか
  • 熱い気持ちを持って何かに打ち込んでいるか
  • 身の回りのことに関心を持っているか
  • 日常に潜む差別や不条理なことにちゃんと怒りを覚えているか
  • 自分の意見を主張できるか?

 

目まぐるしく進んでいく日々や社会のシステムに溶け込みついていこうとするのに精一杯で、何か大事なものを忘れているのではないかと思いました。

 

南アフリカで出会った人たちがくれた言葉の中には、そんな疑問に自分なりの答えを見つけるためのヒントがたくさん詰まっていました。

 

南アフリカには人生への向き合い方が詰まっていた。

現代の日本に生きる自分たちにとって、アフリカは間違いなく新しい/忘れていた価値に気づかせてくれる場所、肩の力を抜いて、胸の中にくすぶっていたものを熱く溶かして燃え上がらせてくれる場所なのではないかと思います。。。

 

まさかこんなに長々と言葉を書き連ねるつもりは全くなかったのですが、こんなに長くて拙い文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

機会を与えてくださったタイガーモブの皆様、この旅で関わってくださった全ての方に深く感謝申し上げます。

 

書いていたら色々思い出してまたすごく戻りたくなってしまいました、次はどこに行こうかな〜!!

 

皆様のこれからの旅にもアフリカとの素敵なご縁がありますように。。。

 

Sharp Sharp !🙌