アッサラームアレイコム!(アラビア語で「こんにちは」)
JICA(青年)海外協力隊 助産師としてモロッコで活動しているサトユカです。
前回はイスラム教の国での生活についてお伝えしました。
日本を離れ、もう少しで1年が過ぎようとしています。
この国で生活していく中で、出発前の想像とは違っていたモロッコがたくさん見えてきました。
そこで今回は、モロッコの秘密5つ!を紹介していきたいと思います。
この記事の目次
イスラム教国がワインの産地!?
地元モロッコ人御用達バーに潜入
前回の記事でも、モロッコにはご当地ビールやワインがあることをお伝えしました。
モロッコではお酒を買うこともできますし、イスラム教徒でもお酒を飲むモロッコ人もいます。(公共の場や道路から見えないようにカーテンなどで隠されているお店が多いです)
私も先日、日本人の知人とともにカサブランカにあるBARに初めて行ってきました。
お客さんで女性は私のみ。周りはタバコを吸いながらお酒を楽しむモロッコ人のおじさんで溢れかえっていました。
ハッピーアワーなるものもあり、日中の時間は通常よりビールは安め。
運ばれてくるおつまみもとても美味しかったです。
ドキドキのBAR初体験でしたが、従業員には女性もいて、とても優しい対応をしていただき、楽しい思い出となりました。
モロッコのワイナリーに潜入
9月には、知人達とワインとオリーブの有名な産地であるメクネスのワイナリーへ訪問。
フランスの保護領時代、フランス人がワインを持ち込みました。
気候や土地、綺麗な水に恵まれた農業大国であるモロッコは、ワインを生産するのにとても適しています。
モロッコワインの特徴はその色。
フランス語で「灰色」を意味する「グリ(Gris)」と呼ばれ、うっすら赤や茶色味がかかった、ロゼよりもさらに濃い色味になっています。
黒(赤)ブドウから作られるため、このような色になるそうです。
今回、見学させていただいたのはこちらのワイナリー。
「Volubilia-Domaine de la Zouina」
経営者はフランス人、フラ(スカーフ)を巻いたモロッコ人の女性も働いていました。
ワイナリーを見学し、説明を聞いた後はブドウ畑を長めながらの試飲タイム!(本当の目的はこれ…)
- ボトル4本(赤・白・ロゼ・グリ)+おまけの1本=驚異のワインボトル5本!
- 3種類のヤギのチーズ
- パンやナッツ類
- 高級オリーブオイルも1本
1人300dh/約3400円(要予約)でした。
メクネスはオリーブの有名な産地でもあります。
ぜひ、モロッコにお越しの際はワイナリーでモロッコワインを楽しんでいただきたいです。
酒屋にもたくさん売っているのでお土産にも是非!
モロッコにスキー場がある!?
出国前の私は
と思っていました。
しかし、それは大間違い!
年中温暖な気候の大西洋沿いの海岸や、北部の地中海性気候、アトラス山脈の高地や、内陸性気候であるサハラ。
モロッコは訪れる場所によって、気候もさまざまです。日本同様に四季のある国でもあります。
私の住む町は、大西洋沿いの海岸部で、比較的暖かいといわれていますが、海風が強く、11月現在は日中は20度弱ありますが、体感温度はとても寒いです。
湯たんぽやダウンジャケットが手放せない冬の季節になってきました。
寒さや暑さが落ち着く春(3月~5月)や秋(9月~11月)は過ごしやすく、旅行に最適なシーズンのようです。
ちなみに夏のマラケシュは40度越えの日も珍しくありません。なんと50度近い日もあるのだとか。
照り付ける太陽、車に乗って窓を開けていると熱風が押し寄せ、ペットボトルの水はすぐにお湯になり…。
暑さに慣れていない私は観光どころではありませんでした。夏の時期のラマダーンで、日中断食をするモロッコ人を心から尊敬しました。
一方、冬になると雪が降る地域もあります。モロッコにはアトラス山脈があり、10月には今年初冠雪が記録されたようです。
スキー場のある地域も数か所あり、国内外から観光客が訪れています。
ミニスカにビキニも!? モロッコ人女子のファッション事情
イスラム教徒の女性といって、真っ先に思い浮かべるのは顔を隠すスカーフや露出を控えた服装…。
モロッコではそのスカーフのことを「フラ」と呼び、大多数の女性が身に着けています。
街中にはフラのお店がたくさん。活動先の同僚も、仕事用とプライベート用を分けたり、フラの色を服に合わせるなどしておしゃれを楽しんでいます。
巻き方も様々です。
農村部や既婚女性はフラをしていることが多いですが、都市部の女性や若者はフラをしていなかったり、露出の激しい服装をしている女性たちも多々見受けられます。
夏は海水浴場でビキニを着ているモロッコ女性もいました。街中にある洋服屋さんでは、ミニスカートやノースリーブの服も売っています。
モロッコはヨーロッパからも近く、移住者や観光客も多いです。「ZARA」や「H&M」などヨーロッパ国々が展開するファッションブランドもあり、ヨーロッパの文化も積極的に受け入れています。
そのため、他の中東イスラム諸国に比べれば肌の露出に寛容な印象を受けます。
クスクスよりも好きな主食があった!?
モロッコの食事と言えば、世界最小のパスタである「クスクス」や「タジン鍋」。
実際モロッコでもいつも食べられています。
ここに来る前は、モロッコの主食はクスクスで、毎日食べられているものと思っていたのですが、クスクスが食べられるのは毎週金曜日。
「クスクスの日」だそうで、この日にしかクスクスが提供されないレストランも多いです。
金曜日はイスラム教にとって、特別な日。
「集団礼拝」と呼ばれ、普段なかなかモスクで礼拝ができない人も、金曜日の正午の礼拝には集まります。
その後、家族が集まり、みんなでクスクスを食べる流れが多いようです。(そのため、同僚たちは、金曜日の午後には職場にいないことが多いです)
最近は共働きの家庭も多く、準備や家族全員が集まることは難しいので、土曜日や別の日に食べるそうです。
思ったより、クスクスの頻度が少ないのが印象的でした。
クスクス以上にモロッコ人の主食として常に食べられているのは、アラビア語でパンを意味する「ホブス」。
食事の前のお通し感覚でホブス。
タジン鍋と一緒にホブス。
朝ごはんにホブス。
おやつの時間にホブス。
小腹がすいたらホブス。
ホブス、ホブス、ホブス…。
市場の中でよく売っているホブスの中に、肉やあげた魚や野菜などを挟めたサンドイッチもとてもおいしいです。
街中には、パン焼き釜をよく見かけます。家庭で生地を作ったものを持って行き、職人に焼いてもらうのだそうです。
焼き立てホブスはふわふわでとっても美味しく、1個1dh(約12円)でお値段もお手頃。
ちなみにホブス以外にも、
- 朝ごはんやおやつには「バグリール」と呼ばれるモロッコのパンケーキで、蒸しパンを薄くしたようなもの
- 「ムスメン」というモロッコ式クレープ
- ざらざらとした触感の「ハルシャ」
などもよく食べられています。
はちみつやジャム、オリーブオイルやバターをつけていただきます。
そしてこれらとともに、常にあるのが砂糖たっぷりのミントティー。
モロッコ人はパンと甘いものが大好きのようです。
サーフィンも出来る!?モロッコビーチの魅力
モロッコと言えばサハラ砂漠。
アラビア語でサハラは「不毛の地」を意味します。
どこまでも広がる砂丘、赤く染まる夕日に満点の星空。
まだ暗い砂漠の上をラクダで移動し、寒さで震えながら見る美しい朝焼け。
私も先日、メルズーガ砂漠へ行ってきましたが、とても幻想的な場所でした。モロッコでぜひとも訪れてほしい場所のひとつです。
しかし、モロッコの自然は砂漠だけではありません。
モロッコは大西洋と地中海に面した国。ビーチもたくさんあります。
タンジェやアガディール、エッサウィラが有名です。夏は観光客が多く訪れ、海水浴やサーフィンを楽しむ人も多数。
私の家のほぼ裏はビーチがあるので、そこでランニングを楽しんだり、大西洋に沈む夕日をのんびりと眺めて癒される日も少なくありません。
また、漁業大国でもあるモロッコ。
沿岸部ではおいしい魚介類も食べることができます。ちなみに私の住む町から車で1時間ほどのワリディアという町は「牡蠣」の有名な産地です。
また、モロッコにはアトラス山脈やリフ山脈もあり、緑が豊かな国でもあります。
夏には、北アフリカ最高峰であるツブカル山にも登頂しました。標高は4167m。富士山よりも高いです。
モロッコには4000m級の山も何か所かあります。
ツブカル山登頂前に練習として登ったヤグール台地にも、湖があったり、羊の群れに遭遇したり…。日本とは違った景色に魅了されました。
そんな自然が美しいモロッコですが、街中にはゴミが散乱している場所も少なくありません。
ゴミ箱があったり、清掃員が毎日掃除してくれていますが、平気でポイ捨てする人をしばしば見かけます。
モロッコの環境を守る取り組み
溢れかえるゴミとそれに群がるいろいろな動物たち。モロッコでは分別して捨てる習慣はありません。
ゴミの中から使えそうなもの、食べられそうなものを拾い、それで生計を立てている人やお腹を満たしている人もいます。
モロッコでは3年前よりスーパー等でビニール袋が廃止されました。買い物客はマイバックやかごを持参しています。海洋汚染問題もあり、ビーチにはこのような看板も。企業がスポンサーとなって、モロッコのビーチの環境保全活動をしているそうです。
私も、時々ランニングコースでゴミ拾いをしたり、学校で活動をする日は、同僚と協力して環境教育を行っています。
美しい自然がたくさんあるモロッコ。一人ひとりが環境について考え、行動して、いつまでもこの自然を楽しめるようにと願っています。
マルハバ!モロッコ!
モロッコに1年近く住み、ここでの生活に良くも悪くも慣れてきました。
たまに遊びにきてくれる協力隊同期や友人達のモロッコへの新鮮で率直な反応をみて、この国の良さや改めて気づかされることも多いです。
外国人である私が、今ここで、元気に笑顔で生活できているのは、いつも「マルハバ(現地語でようこその意)」と温かく迎え入れてくれるモロッコ人たちのおかげです。
- 日々協力してくれ、私のまだまだ不十分な言葉を120%で理解してくれる活動先の同僚
- 保健センターでパワーや笑顔をくれる妊産婦さんや赤ちゃん達
- 毎朝「いってらっしゃい」と声をかけてくれる路上で働く警備員
- 買い物をしていると、私の現地語の名前を呼んで声を掛けてくれる市場の人たち
- 困っていると手を差し伸べてくれる見知らぬ人々
モロッコには暖かい人達が本当にたくさんいます。
彼らの優しさには慣れてしまうことなく、感謝を忘れず、こんな素敵な国での日々を大切に大切に過ごしていきたいと思っています。
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