JICA協力隊に「現職参加」で行く選択。メリデメを徹底的にまとめてみた!

こんにちは!

JICA海外協力隊としてガーナの化粧品メーカーで生産性向上やマーケティング活動の支援を行っている尾崎隼人です。

 

私はJICA海外協力隊に民間連携で企業から現職参加しているのですが、今回はこの現職参加制度について実際に利用している私の立場からメリットやデメリットなどについてお伝えしたいと思います。

現職参加とは

現職参加とは、現在の仕事を退職せずに、休職もしくはJICA海外協力隊への出向という形で協力隊に参加できる制度のことです。

 

民間企業の社員だけでなく、公務員病院で働いている方でも派遣実績があり、現在までに2,000団体以上から隊員が参加しています。

 

もっと詳しく知りたい方はJICAの公式サイトをご確認ください!

 

一般参加と現職参加の違い

普通に協力隊に参加するパターンと、現職参加するパターンでは大きく分けて3つの違いがあります。

1.帰国後にすぐに戻れる職場があるか

一般参加の場合、基本的に職場を退職してから参加することになるので、協力隊の任期が終われば帰国後はまた自分で就職先を見つける必要があります。

 

これに対して現職参加では、帰国後に自分の籍が勤務先にあるので再就職先を見つける必要がなく、すぐに職場復帰することができます。

 

この点が現職参加と一般参加の最も大きな違いです。

2.現職参加だと任期が短い場合がある

一般参加の場合、基本的に協力隊の任期は2年ですが、現職参加の場合所属している企業などの意向で任期が丸々2年にならない場合があります。

 

私の場合は会社が任期を1年で指定しているため、通常よりも短い任期の活動になっています。

3.協力隊参加中も会社からの給料が発生する場合がある

現職参加にも2パターンあり、

  • 休職するパターン
  • 休職せずに業務の一環として給料をそのままもらいながら協力隊に参加するパターン

2つがあります。

 

後者の場合は通常の協力隊員がもらえる手当は出ませんが、所属している会社の規定に則って協力隊活動中も給料が支給されます。

 

派遣先の化粧品会社で、商品を客先へ出荷するためトラックに積んでいる様子

現職参加のメリット

1.活動中のメンタルが安定する

実際に開発途上国で活動している際に、帰国後の進路や生活基盤が保証されているという安心感はとても大きいです。

 

ただでさえ活動が上手くいかなかったり、生活が不便だったり、ケガや病気などトラブルが多いのが協力隊の活動。

帰国後にきちんと仕事を見つけることができるだろうか?といった不安がある場合はよりメンタルが不安定になりやすいかもしれません(実際は帰国後もみなさん立派に社会で活躍されているので心配し過ぎる必要はないのですが!)。

2.長期的なキャリア形成がしやすい

所属企業や団体が現職参加を認めている場合、協力隊の経験を業務に活かすことが期待されるので長期的な視点でキャリアを形成しやすいと言えます。

 

例えば、帰国後は海外事業部海外拠点に駐在するなど、海外キャリアのためのステップアップとしての機能が期待できます。

3.協力隊の参加目的が明確になりやすい

現職参加する場合、帰国後の自身のキャリアが描きやすいので協力隊に参加する目的がより明確で具体的なものになりやすいです。

 

私の場合、ガーナの化粧品メーカーで生産性向上やマーケティング活動の支援などを行っているのですが、

  • 製品の製造工程でどこがボトルネックになっているか分析する能力
  • 製品のマーケティング戦略を経営者と一緒に立案していく経験

などは、帰国後の業務でも活かせるので、ボランティア活動ではありますが実際に成果を出すことが自身のキャリアに役に立つという実感を得ながら活動に取り組むことができています。

活動では配属先が抱えている課題を具体的に把握し、現地のメンバーと解決策について合意形成していく調整力が重要です

4.任国での人的ネットワークが形成しやすい

任国ではJICA職員を始め、企業の駐在員や大使館で働く方など、様々な日本人と接する機会があります。

 

その際に企業から現職参加していることを伝えると同じ国で駐在している同業他社の方を紹介してくれたり、関連する現地の企業を紹介してくれたりすることがあります。

 

こういったことも、現職参加することで長期的なキャリアを持っているからこそ生まれる繋がりだなと感じます。

5.(給料が発生する場合)経済的に安定する

協力隊として活動している任期中はJICAから生活費や手当が支給されるので、基本的に生活する上で経済的に困ることはそこまでないと思いますが、

給料が発生するパターンの現職参加の場合、任国でもたまに贅沢ができたりするなど、より経済的に安定した生活を過ごすことができます。

 

現職参加のデメリット

1.職場から現職参加の許可を得る必要がある

所属企業や団体に現職参加している前例がある場合は、前例に則って上司や人事部、役員などの許可を得る必要があります。

 

もし前例がない場合は新たに制度を設けるなどのプロセスが必要になるため、制度が整うまでに長期化する可能性があります。

もし、できるだけ早く協力隊に参加したいと考えている場合は制度が整っていない環境化での現職参加は避けた方がいいかもしれません。

 

参考として、私の所属している企業にはJICA海外協力隊に参加するための社内制度があり、年に1回希望する社員を公募で募り、社内選考を経て派遣正式決定を行います。

コロナ禍も重なり社内選考から実際の派遣まで約3年かかりました。

 

2.帰国後にすぐキャリアを変更しづらい

協力隊では本当に様々な経験ができるので派遣の前後では自身の価値観ややりたいことが大きく変わる可能性があります。

 

現職参加を認めてもらった場合、帰国後に自分のキャリアを変えようと思っても企業への後ろめたさからすぐに退職するという決断がしづらいかもしれません。

 

  • 帰国後のフットワークの軽さを求める人
  • もとの会社には戻らないと決めている人

は現職参加ではなく退職して一般参加するパターンの方が向いている場合もあります。

3.任国や要請内容が自由に選べない場合がある

休職ではなく業務の一環として現職参加する場合は人事部などが社員の経歴やスキル、事業環境などを考慮して要請内容を決定するため、社員自身は要請内容を自由に選べない可能性があります。

 

絶対に行きたい任国などが決まっている場合は休職するパターンか、退職して一般応募から参加するのが適しています。

 

JICA海外協力隊に現職参加するには

まずは過去に現職参加で協力隊に参加した前例があるかどうかを人事部などに確認しましょう。

 

もし過去に参加した人が同じ会社や団体にいるのであれば個人的に連絡をとって話を聞いてみるのが一番早いでしょう。

 

もし前例がない場合は、自分で会社と交渉して現職参加を認めてもらう必要があります。

 

このプロセスは非常に時間と労力がかかることが予想されるので、自分にとって一般参加と現職参加する場合でそれぞれどんなメリットがあるかきちんと整理した上で実際に行動するようにしましょう。

現職参加するためのポイント

現職参加の制度があるにせよないにせよ、会社に現職参加を認めてもらうためには

「社員の現職参加を認めることは会社にとってメリットがある」

ということを理論的に示すことができれば認めてもらえる確率が高まります。

 

私の場合は以下のような論理を組み立てて社内選考の書類や役員面接に臨みました。

会社にとってのメリット1.
社員のグローバルな環境下における業務遂行スキルの獲得

協力隊の活動では「上司に指示されるのではなく自身で課題を見つけ、そのために必要な具体的な施策に落とし込む」というあらゆる業務での必須スキルを、さらに異文化の中で&異言語で行う必要があります。

この経験はグローバル市場へ進出している企業では確実に役に立つため、帰国後の業務に活かすことができます。

会社にとってのメリット2.
社会課題解決への貢献

昨今、SDGsやCSRなど企業における社会課題解決への取り組みがますます重要視されていく中で、株主や消費者、取引先から企業活動を通じた社会貢献などが強く求められています。

 

JICA海外協力隊への現職参加を認めることで、企業が社員の派遣を通して開発途上国における課題解決に直接関与することができるため、社会貢献活動の実績として社外に大きくアピールすることができます。

 

会社にとってのメリット3.
新興国でのビジネス事情の把握

ビジネス進出を検討している国へ社員を協力隊員として派遣することができれば、

  • その国の治安
  • インフラの発達事情
  • 商文化
  • 各都市の特徴

など、草の根活動をしている協力隊員だからこそ知ることのできる活きた情報を得ることができます。

それらはビジネスを有利に進めるための材料になります。

 

現職参加する際はぜひ以上のような点を参考にしてみてくださいね。

最後に

土日は活動がお休みなのでレストランやカフェなどを開拓しています!

 

メリットやデメリットがあるものの、多くの人にとって少ないリスクで協力隊に参加できるという点で現職参加は非常に有効な手段となります。

 

私の経験がみなさんの参考になれば幸いです!

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