こんにちは!ケニアの島で生活中のたくみ(@nakano235_tk)と申します。
現地で頑張る、現地の人の声を届けるべく、インタビュー・記事執筆活動を行っています。
テラ・ルネッサンスに続き、ウガンダ渡航インタビュー記事第3弾は、Empowered Civil Organizationという団体で代表を務めるサイラスさんです!
名前を聞いてハッと来た方もいるのではないかと思います。
彼はフリーランス国際協力師で知られる原貫太さん(@kantahara)と一緒に事業を行うパートナーです。
サイラスと写真を撮ったよ。これぞアフリカって景色! pic.twitter.com/t1fgaN3jgB
— 原貫太 / フリーランス国際協力師 (@kantahara) 2019年4月26日
アフリカの発展に対する想いや、サイラスさんを突き動かすものを大変アツく語っていただきました。
今までのインタビューで最長の2時間にもわたってその想いを語ってくれました!
もはやどっちがインタビューされているのかわかりませんでした。
今回のテーマは「本当に変わるべきは途上国か、先進国か」
これを念頭に置いて読み進めていただければと思います。
現地で頑張る、現地の人から見た途上国に開発をしに来る人たちはどう映るのでしょうか。
果たして、援助でアフリカは発展できるのでしょうか。
では、まっすぐでアツいサイラスさん(以下サイラス)の記事をお届けします!
この記事の目次
フライングトークも既に熱い!
ウガンダには56も民族がいて、しかもみんなそれぞれ自分の言語を話すんだ!でも、ウガンダはイギリスの植民地だったから英語でみんなコミュニケーションを…
(やばい、ありがたいことにすごい話してくれてる…まだレコーダーオンにしてない…というかまだ始めてもいない…このままだと持ってかれる…あかん…)
サイラスさん、もう始まってる感あるけど、そろそろインタビュー始めますね!レコーダーオンにします!
オーケー!何から始めようか?
CBO・Empowered Civil Organizationでの活動
まずサイラスさんが行っている活動について聞かせてもらいたいです!対象地や、プロジェクトの内容など教えてください!
僕が代表をしているCBO・Empowered Civil Organizationでは、カンパラ周辺でMake Uganda Clean Again(MUCA)と呼ばれる公衆衛生啓発活動と、もう一つはカンタさんが主だって動かしている生理用ナプキンのプロジェクトがウガンダ北東部のカラモジャという地域で行われているよ。
なるほど。具体的にはどんな活動を行っているんですか?
MUCAの問題意識は、最初、ごみが適切に処理されていないところにあったんだ。そのせいで、マラリアや下痢症といった病気が多くなってしまっていたからね。例えば、プラごみをそのまま放置しているとそこに水が溜まって、マラリアが媒介する蚊が寄ってきたりするんだ。
わかってもらえたと思うけど、病気を未然に防ぐためには、知識を得てそれを実行することが重要だ。最初に対象地の学校をターゲットにして公衆衛生の啓発活動を行ったよ。それと、地域の清掃活動をしたり、学校に衛生クラブを作ったりしたね!
子どもの意識を変えるのはそこまで難しくないけど、大人になってくるとそういう部分を変えるのは難しくなってくるから、子どもから大人に公衆衛生の知識を行き渡らせるようにレクチャーしたんだ。地域全体に知識が広まるようにね。
結果的に、病院でマラリアや下痢症の感染件数を確認したら劇的に低下しているのが確認できたよ!
ウガンダ人パートナーのサイラスが2年間続けてきた公衆衛生プロジェクト”Make Uganda Clean Again”
— 原貫太 / フリーランス国際協力師 (@kantahara) 2019年7月9日
先月末、新たにウガンダ北東部カタクウィの小学校にも活動の輪を拡げました。動画は手洗い装置を使う子ども。日本の皆さんからのご寄付で寄贈した物になります。
僕も今月末からウガンダに戻ります! pic.twitter.com/PBzZIJa8Ci
それはすごい!もう一つの生理用ナプキンプロジェクトは?
プロジェクトの対象地のカラモジャでは、女の子の学生が生理の期間は学校に出席できていないんだ。ナプキンは彼女たちに手の届く価格ではないし、ナプキンがなければ血が出ている状態で学校に行くことはできないからね。
となるとナプキンが必要なわけだけど、できるだけ安く!を考えて一番いい方法は作ることっていう結論に至ったんだ。カンタさんのチームが手作りナプキンの作り方を学校に教えていたよ。
その結果、学校に出席している女の子の数は増加したし、退学の件数も減った。やってみて、このプロジェクトはすごくいいものだったって気づいたよ。
カラモジャはウガンダの中でも最も貧しい地域の一つだから、僕たちもベストを尽くして改善しようとしている。ただ問題は、改善のために使われるべきお金が汚職で消えてしまっていることなんだ。
明日からスタディツアーが始まります。現地パートナーのサイラスたちと打ち合わせなう。
— 原貫太 / フリーランス国際協力師 (@kantahara) 2019年9月1日
来週からウガンダ北東部にて、女子児童に対する生理用品支援プロジェクトも開始する予定です。サイラス「まずはパイロット的に開始し、軌道に乗ったら全国のスタッフを通じて活動を拡げたい。」
頑張ります〜! pic.twitter.com/xDcrna52JG
なぜアフリカは発展できないのか
汚職…ですか…。
ウガンダでは汚職は深刻な問題だ。僕は個人的に、援助としてお金を送る側の責任が重要だと思っている。
僕は自分の国を変えようと活動しているけど、お金を頼むことはしない。もちろんお金は活動するうえで欠かせないけれど、大事なのはプロジェクトの実行まで最後まで責任をもって見届けること。
例えば、日本がウガンダに50億円送ったとしても、ちゃんと日本が確認しない限り、どこに最終的にお金が行きついたのかなんてわからないだろ?お金を送ったからと言って、それが必ずしも意味のある援助につながるわけじゃないから、安心しちゃいけない。
アフリカで紛争がたくさん起こってきたのは、こうした要因が大きいのもあるんだ。ウガンダで何が起こっているのかもわからないまま、先進国がお金を送り続けて戦争が拡大したり、先進国の利益になるように戦争が仕組まれていたりね。こうした問題はアフリカにはすごく多い。
もちろん、問題は汚職だけじゃない。民族対立もそうした問題のうちの一つだ。これは本当にいろいろな側面に影響するんだけど、たとえば職場の上司がある特定の民族出身で、ほかの民族出身の部下がいるとする。彼がその部下の待遇を悪くして、自分と同じ民族を優遇する、みたいな話はあり得るんだ。給料で差をつけるとかね。
これは職場に限った話ではなくて、国レベルでもある話だ。
迫害されている民族とそうでない民族では、享受できる権利にも差が出る。例えば教育とかね。そして何よりも深刻な問題は、こうした民族対立が争いを生んでしまっているということだ。プロジェクトを進めるうえでも、たびたびこういう困難に直面するよ。
僕はカンパラ、つまり、歴史的に優遇されて来たウガンダ南部から来た人間だと言うと、僕を嫌う人もいた。学校を建てよう!となっても、民族対立を考慮したうえで建設しないと争いの種になってしまうかもしれない…とかね。本当にこれは難しい問題だよ。
まさにウガンダ内戦の発端はそうしたイギリスによる分断統治にありましたね。そしてそれは今も続いていて、紛争が終わった後も影響を与え続けていると…。
アフリカに「本当に必要」なもの
先進国から来た人々は、主に農村地域の人々を助けることに関心があるよね。でも、彼らには何が本当に問題で、どうやったら問題を解決できるかがわからないと思う。僕は、その地域を知っているローカルの人にリーチして、変化を及ぼせるだけの人を選ぶことが一つ、問題解決のためのきっかけになると考えているよ。
まさに原さんとサイラスさんの関係ですね。
そうだね。あともう一つ、アフリカの子どもたちは、たくみさんのような肌の色の人々は「お金を持った、私たちを助けに来てくれる人」だと信じ込んで育ってしまっているんだ。
だから、働かずに、「こんなに私は貧しいんだから、誰かが助けてくれるに違いない」と思っている人々が多い。大人になってもね。
こうしたアフリカの人々は、自分の力で立って、自分の力で稼ぐべきなんだ。
「私の仕事は外国人に助けられるために座ってずっと待ち続けることです。」
なんて全然健全じゃない生き方だろ?こういう考え方が、アフリカの人々を怠けさせているし、汚職という考えにも繋がってしまっているんじゃないかな。だから、ただアフリカにお金を送ることはやめてほしい。
その代わり、アフリカに来てアフリカの実情をとにかく知ってほしい。
「かわいそうだから」という理由でお金を送り続けてしまえば、アフリカはだめになってしまう。
だから、お金でなくて、どうやったらお金を得られるのかを教えるべきなんだ。スキルを教えて、持続的な生活を送れるようにね。
「超大国」「お金」だからなんなんだ?
ここまで話を聞いていて、サイラスさんは本当にアフリカの発展に真摯に向き合って、情熱をもって活動されているのがひしひし伝わってきました。そこまでサイラスさんを突き動かすものって何なんですか?
う~ん…僕はそんなに「あれが欲しい!」「これが欲しい!」みたいな欲のある人間じゃないんだ。それよりも、僕は人が好きだから、人のために何かしたいと思っているよ。僕たちがこの地球にいるのは、誰かの生活をよくするためだと思っているしね。
なるほど。これといった原体験というよりかは、そうした想いからアフリカの発展に尽くしているんですか?
僕はウガンダの東側で育ったんだ。当時はまだ紛争中で、僕自身たくさんの人々が苦しむのを見てきたよ。そのときから変わらず、僕の故郷は今もウガンダの中の最貧困地域の一つだ。
僕は、苦しむ人がそこにいるなら、彼らに救いの手を差し伸べてあげたいと、故郷で苦しむ人々を見ていて思ったんだ。それで、人を助けたいと思うようになった。故郷からはたくさんのことを教えてもらったよ。紛争はむごたらしいものだ。人が殺されるのを見てきたよ。中には、子どもの頭を樹にたたきつけて殺すなんてのもあった。見てきたからこそ、誰かのために生きようと思ったんだ。
人は有名になるため、お金持ちになるために、競争社会を生き抜くために踊らされているけど、大事なのはそんなことじゃなくて、誰かの力になることだと僕は思ってるよ。
同じように、国同士だって超大国になるために戦い続けてきた。でも、超大国になることが何だっていうんだ?戦争をして、死にたいのか?日本は車の生産がすごくて、たくさんお金を稼いでいるけど、それがどうした?って感じなんだよ。僕にとっては。
少し別のところに目を向ければ、人が死んでいってしまう現実があるんだ。ご飯もまともに食べられない現実がね。そんな現実があるのに、いったいあなたたちは何をしているんだ?
- もしTシャツが二つ僕の手元にあるなら、それが必要な人のところに渡す。
- 空腹で死んでしまいそうな人がいるなら、食べ物を分ける。
- 彼らが、持続的に生きていける方法を教える。
- 魚の釣り方を教える。
そうやって、どうやってハッピーに生きていけるかを教えていったら、それがいつか世界がよりよくなるための一歩になる。どうやったら世界がよくなるかをみんなで考えたら、戦争なんてなにも生み出さないのは当然だろ?
超大国になれたからなんだ。お金をたくさん稼げるからなんだっていうんだ。それでいったい何を得たんだ?
世界はもっと、何が本当に世界のためになされるべきかを知らなくちゃいけない。僕たちは、助け合って生きていかなきゃいけない。たくみさんが今こうしているように、声に耳を傾けないといけない。何が本当に問題なのか、探求し続けなければいけない。
根っこにある問題を解決しなければ、いつまでも問題は問題のままだ。
僕はたくさんの人がマラリアを求めているんだって知っている。マラリアにかかる人がいないと、製薬ビジネスがダメージを受けるからだ。
でも、人が死んでいるんだよ。人が。そんなビジネスなんてどっかにやってしまってほしい。僕は、こういうことが本当に残念でならないよ。
ありがとうございます。なにか、僕たちに欠けている大切なものをサイラスさんから教えてもらった気がします。
今、画面の向こうの、この記事を読んでいるあなたへ。
ここまでたくさん話していただいてあれなんですが、改めて日本の皆さんにメッセージはありますか?
まず、日本の国際協力に携わるすべての人に感謝の気持ちを伝えたいね。そのうえで、アフリカを良くしようと、変化をもたらそうとする情熱を持ったアフリカの人々をこれからも応援してほしい。金銭的な意味でも、アフリカにただ足を運ぶのもいい。
あなたがアフリカに来てくれるだけで、アフリカの誰かを変えることができる。
僕たちは来てくれるだけでもすごく嬉しいからね。苦しんでいるアフリカの人々だって、あなたがここに来てくれるだけで安らいでくれるかもしれない。
それともう一つ。僕は日本人が忙しいことは百も承知だけど、それでも、外の世界で何が起こっているのかを忘れないでほしい。だから、国際協力の講義とか、世界を知れる機会を見つけたら忘れずに足を運んでほしい。
本当は、日本の皆さんに僕のところまで来てもらって、僕がレクチャーをしたいけどね!
最後に、アフリカは、ウガンダは今、胸を張っては言えないけれど、安全だよと伝えたいね。ぜひここまで来て、僕たちの文化を学んでもらえると嬉しい。
アフリカに渡すお金がなくたって、あなたがアフリカを知ってくれて、来てくれたら僕たちはとてもうれしいよ。お金がなくたって気にしないで!ただ来てくれ!
長い時間ありがとうございました!これからも活動、頑張ってください!
Arigato!
クラファン挑戦中です!
いつもは上記のサイラスさんのように、現地の人へのインタビュー記事を執筆していますが、今回は違います。
クラウドファンディングを始めることになりました!現在すでに公開中です!
https://camp-fire.jp/projects/view/221387
僕が住んでいるケニアの島はHIV感染率が非常に高く、国平均の4-5倍ほどのHIV感染率があるともいわれています。
プロジェクトの概要、そしてパートナーのケビンとの出会いや想いなど2本の記事にしました!
是非読んでいただき、プロジェクトにご支援いただけたら嬉しいです。