初めまして、秋田大学医学部医学科4年の宮地貴士と申します。僕はザンビア共和国にある無医村、マケニ村の医療を支えるために日本各地で来る日も来る日も“ザンビア風お好み焼き”を焼いてきました!

 

この連載では、そんなお好み焼きを焼く医学生が国際支援活動の泥沼にはまりながらも必死にもがく、奮闘記をお届けします。

 

第一弾
包丁すら握ったことのない医学生が
3000食のお好み焼きを販売した理由

1通のメールから始まった壮大な挑戦

2017年10月頃、僕が所属していた学生団体(国際医学生連盟 日本)にザンビアで活動していた日本のNGO(TICO)から一通のメールをもらいました。

 

「ザンビア共和国の無医村が診療所を建設しよう必死に活動している。しかしながら、資金難に陥っているようだ。君たちにできることを何かしてみないか。」

 

この学生団体では、医療系学生を中心に毎年希望者をザンビアに派遣し、現地の保健・医療を学んでいました。これまでお世話になってきたザンビアに何かしたいという思いがある一方で、人の命が関わる事業に手を出す不安がありました。

 

メンバーで話し合った結果、まずは現地の様子を見に行ってから事業参加の有無を決断することに決め、僕自身が代表してザンビアに行きました。

 

ザンビアの首都ルサカから車で道なき道を4時間。電気もガスも水道もなく、見渡す限りいっぱいの草原にたどり着きます。ザンビア共和国中央州チサンバ郡モンボシ地区マケニ村です。

マケニ村の家

周辺人口も含め、9500人の住むこの村には医療施設がありません。

大きなおなかを抱えた妊婦さんは、安全な出産を求めて“最寄り”の診療所まで4時間の距離を歩き、やけどを負った村人は、布切れで患部を覆い痛々しい状態で自然治癒を待っている。簡単な薬で治るはずのマラリアに苦しむ青年もいました。

最寄りの診療所までの道のり

 

過酷な状況ではありましたが、希望の光も見つかりました。「診療所の建設によってより多くの命を救いたい。」その一心で活動する村人たちがいたのです。40,000個に及ぶレンガを作り、セメントに必要な砂を各地から集め、資金の拠出もやろうと意気込んでいました。

 

そんな村人たちとなら村の命を守れるかもしれない。そう思い、彼らの活動を支援する決意をしました。

 

診療所の運営には、診療所そのものに加えて、医療従事者のための住居、トイレや医療ごみの焼却炉が必要です。総工費は800万円程度。私たちはその内の520万円を調達し、その他はザンビア政府や村人たちの寄付で集める計画を立てました。

520万円獲得のカギは…ザンビア風お好み焼き

ザンビアから帰国後、学生団体でこれまで活動してきた仲間と共に“ザンビア・ブリッジ企画”を立ち上げました。

 

さて、問題は、これまで何の経験もない学生が、どうやって資金を集めるか。漠然としたアイデアは、ザンビアの良さを発信したいということでした。私たちは、会う人会う人にこの想いを伝えていきました。

 

「ザンビアの良さを発信して、ザンビアに診療所を建てたいんです!」

 

すると、日本に住むザンビア人で現地の文化を様々な方法で発信している方とお会いしました。そしてなんと、彼が考案したザンビア風お好み焼きのレシピを頂いたのです。

 

これは、ザンビアの主食であるトウモロコシの粉を生地に使い、現地でよく食されているトマトと豆を煮込んだソースをかけて食べるお好み焼きです。現地の食文化を日本人の味覚にも合うように調整された商品。まさに求めていたものでした。

ザンビア風お好み焼き

 

ただ、僕はそれまで一切料理をしたことがなかったのです。包丁すら握ったことがないレベルです。レシピはもらったものの、途方にくれました。毎日お好み焼を作ってみるも失敗の連続。

 

最終的には、料理の得意な母親に任せ、ド素人でも屋台で出店できるレシピを作成してもらいました。お好み焼きと苦闘すること1カ月、ついに、人に食べてもらえる味になったのです。

 

やることが決まってからは、ひたすら駆け抜けました。お好み焼きの出店先を見つけるために、新聞やネットでイベントを探し、主催者に連絡。「ザンビア風お好み焼きを焼かせてくれ!」とお願いしました。

 

なんの資格もない学生による飲食出店のハードルは高かったのですが、なんとか秋田県の小さな町で行われたお祭りに第1回目の出店が実現しました。その後は、支援の輪が秋田から全国各地に広がり、これまでに3000食以上のお好み焼きを販売してきました。

第一回出展の様子

ザンビアの文化に付加価値を付けて、稼ぐ!!

お好み焼き以外にも活動の幅が広がっていきました。ザンビアで購入した布を加工して制作した手芸品の販売、ザンビア人留学生とのチャリティーコンサート、アフリカ写真展などです。ザンビアの良さを発信することにこだわったからこそ、現地の文化の魅力が口コミで広がっていったのだと思います。

 

今年の5月末から1カ月ほど挑戦したクラウドファンディングでは、これまでの活動で出会った方を中心に157名の方から1,683,000円のご支援を頂きました。寄付も合わせてこれまでに320万円の資金を調達。このペースで活動を続け、第二回東京オリンピックが開かれる2020年までに診療所を建設させる予定です。

ザンビアの布を使った手芸品の販売

次回は自分がなぜここまで夢中になって活動することができたのか。その根源的な部分に触れてみたいと思います!