全然違う。
でも同じ所もある。
タンザニアの2つの幼稚園で先生のサポート役として過ごした経験は一言で言えば
味わったことのない程、『心を揺さぶられる時間』でした。
今までの教師としてあたり前だと思っていたことがいかにそうでなかったか。
これほどまでに違う世界があるのだと思い知らされました。
私にとって大切なことを気づかせてもらってばかりでしたが、日本では決して味わうことのできない貴重な経験になりました。
私の活動内容は、授業中のアルファベットや数字を書く練習を手伝ったり、手書きの宿題づくり。
1つしかないトイレに行く子を許可したり、待たせたり、あそび出す生徒を席に戻したり、ケンカを止めたり(^^)
最初はかなり戸惑いましたが、タンザニアの子どもたちや先生と交流する中で少しずつ打ち解けることができました。
数えきれない衝撃や発見、新たな気づきや感動も味わいました。
『心を揺さぶられる時間』
今回は、タンザニアの教育現場の様子と私が感じた思いをご紹介させていただきます。
この記事の目次
①日本とタンザニアの幼稚園の違い
タンザニアの幼稚園。
小さな学校でした。
教室もグランドも。
ちなみにこの写真は、日本を離れる直前に見学させてもらった東京都にある『ふじようちえん』。
TEDでも紹介され世界中からたくさんの人が見学に来ていた。
ふじようちえんを直前に見ていたこともあり、それと比べようものなら、天と地の差があった。もちろん、良いとか悪いとかではない。
教育に関わる人間として、自分はいかに偏った世界しか知らなかったのか思い知らされた。
これは僕が訪れたタンザニアの幼稚園。
教室
コンクリートの床と壁。
ゴザのような物が敷いてある。
板は移動式。
窓は鉄の棒で遮ってるだけ。
スコールで雨が降ると教室の中まで雨が入ってきた。電気もないから暗くて寒かった。
チョークの数は限られていた。
小さな白いチョークがいくつかあった。
色のついたチョークはない。
壁に不自然な穴が。
何かなと思いよく見てみると…
まさかのチョーク入れだった💦
もう1つの幼稚園ではチョークがストックされていた。
これもよく見てみると…
日本語で書かれています。
日本からの支援物資。
黒板消しは、雑巾のようなタオルで拭いて消しました。
日本の学校ではあたり前にあるものだと思っていたことがことごとくあたり前ではなかった。
感謝の気持ちが自然とわいてきました。
初めて味わう感覚でした。
幼稚園の遊具
幼稚園と言えば遊具。
すべり台やジャングルジム、鉄棒、うんてい、のぼり棒など。日本ならあってあたり前の光景。
ここではゆりかごが1つ。
もう1つの幼稚園には遊具は何もなかった。
だから大人気!!
大人気すぎて本当に危険!
先生から、『外で遊んでいいよ』と許可が出ると喜びを全身で表現する子どもたち!
しかし、日本とちょこっと違ったのはまず先生がゆりかごに乗って楽しむこと。
うらやましそうな子どもたち(苦笑)
先生は『交代で乗りなさい』と言うが収集がつかない状況でした💦
僕が見た時には、20人ほどの子どもが一気に乗っていました
しかも、ゆりかごの下になぜか潜り込む子どももいます。
先生にも子どもにもそれが危ないという視点すらないことに驚いた。下にいる子どもだけは引きずり出したが、とにかく事故が起きないようにと、正直ずっとハラハラしていました💦
子どもに常識は通じない。
しかも、アフリカのタンザニアならばなおさら日本の常識なんか通じるはずもない。
とにかく何事もなくてよかったが、あまりにも日本と違う状況は強烈に印象に残っている^^;
勉強道具
みんな鉛筆を使う。
鉛筆の先は、芯が潰れてうまくかけない。
☆写真は鉛筆の先
貴重な鉛筆削り
全然削れない(涙)
これで削るか、カッターで僕たち先生が1本1本毎日削っていた。
☆子どもたちが授業で使う鉛筆
消しゴム
いつも大人気!
ここでは消しゴムを『ラバー』と呼んでいた。
その時はクラスに消しゴムが2つしかない。
授業中、1人が『ラバー』と言い始めると至るところで『ラバー!!』『ラバー!!』もう止まらない(笑)。
消しゴムを使いたいからわざと書き間違えて『ラバー!ラバー!』とあちこちで呼ぶ声が(笑)。
全然勉強に集中してないが、子どもらしくてなんともかわいい(^^)
でも、取り合いでケンカになることもよくありました!
色えんぴつ
こちらも大人気!
ヨーロッパから来たボランティアメンバーが持ってきた色えんぴつは子どもたちは大喜びでした!
☆写真は寄付された色えんぴつ類
この色えんぴつでぬり絵をさせようとしたけどぬり絵用の紙がない。
ボランティアメンバーがカリアコという大きな街まで行ってコピーして子どもたちに翌日ぬり絵をさせていました。
カバン
教室にロッカーなんかないからカバンは無造作に山積みに。
他の国からのお古が多い。
☆写真は子どもたちのカバン
☆こちらはハングル文字の名前。
おそらく韓国の子どもが使ったお古のカバン。
実際に足を運び、現場に踏み込んでこそ見えてくるものがありました。
授業
僕が担当した3〜4歳のクラスではアルファベットと数字を習得させていた。
5〜6歳の子どもたちは、簡単な日常会話や足し算、引き算も学んでいました。
僕が担当した3〜4歳のクラスの英語。
この日は果物や野菜、生き物など毎日種類を変えながら黒板に書いたりして発音練習をしていた。
☆写真はいろんな果物が描かれた黒板。
アルファベットや数字を書く練習の時はだいたい3人ずつ呼び、個別に教える。
先生が少ないこと。
指導法が確立されてないこと。
自主学習できるノートなどがない。
そんな理由で、個別の生徒以外はほったらかしになることもしばしば。
この辺は相当はがゆかった。
先生を指導、育成する大学やシステムが必要だと感じました。
授業用の教材と宿題
先生が1人1人手書きをしてそれをもとに子ども達が練習で書いていく。
☆写真は復元したイメージ
うまく書けない子には先生が点々でABCDや数字を書く。
☆写真は、なぞる用♪
子どもはそれをなぞって書く練習。
大文字、小文字も練習する。
先生も大変💦
全員分の授業用のノートと宿題用のノートに数字、アルファベットも毎日書く。
でも日本と違ったのは、先生同士おしゃべりしながらその作業をしていた。
体罰
2つの幼稚園に行ったが、あたり前のように先生が子どもを叩くことがしばしば。
あらためて言うが今回も良いとか悪いとか議論するつもりはありません。
言うことを聞かない子どもを手で叩いたり木の棒で叩いたりする。
木の棒で机を叩いて怒りを表現することもよくありました。
先生がいない時に、子どもがその棒を持ち机を叩いて先生のマネをしていた。
大人は子どもの鏡。複雑すぎる心境でした。
しかし、違う感情が芽生えたのも事実です。
50人も60人もいる園児に先生2人という現実。好き勝手動き回る子どもたちをまとめなければならない。
現場からするとやむを得ない部分もあるのかもしれない。そんな思いも芽生えてきた。
あと、戦後の日本もこんな感じだったのかなとふと考えたことも覚えている。
学校外でのちょっとした出来事
道端で生活する幼稚園くらいの小さな3人の子供を見かけた。
おそらく兄弟。男の子が2人と女の子が1人。
何をして遊んでるのかなと思って近づいて見ると、何やら勉強しているようでした💦
わずかな出来事であったが 僕にとっては衝撃的な時間だった。
家のない子どもたちも教育を求めている現実がそこにあった。
☆写真はダルエスサラームの道端
タンザニアと日本の共通点
タンザニアの幼稚園に通い、日本との様々な違いがたくさんあった。
しかし、共通点も見つけた。
子どもたちは
○エネルギーに満ち溢れていること
○ほめられるのが大好きだということ
○一人ひとりに素晴らしい個性があること
日本でもタンザニアでも、子どもたちは希望の存在であり、未来の宝であるということをあらためて実感しました。
だからこそ、教育の持つ意味は本当に大きいことを感じることができました。
☆写真は年下の子の靴ひもを結んであげている光景。優しい気持ちにさせてもらいました!
日本、タンザニア、そして世界中の子どもたちが幸せな人生を切り開く力を身につけてもらいたい。
そのためにも、『教育』がいかに重要であるかを実感しました。
『心揺さぶられる時間』
この経験を少しでもこれからの教育に活かしていきます!
☆写真は、日本と同じくお昼寝をしている子どもたち♪すくすくと育つことを願っています!