前回の記事で不思議な、でも平和な世界に触れた後、やっぱりその国の世界遺産は行ってみたい!と思い、
クタマク(Koutammakou)に行くことに。
▽前回の記事はこちらから☻
この記事の目次
トーゴ唯一の世界遺産、クマタク。
ここはトーゴで唯一の世界遺産である。
唯一の世界遺産であることから多くの旅人もここを目指す。
しかし、お伝えしなければいけない。
遠すぎるのだ。
強調したい。
生半可ではたどり着けない。
説明するまでもなく地図を見ただけでその道のりがお分かり頂けるだろう。
「クタマク」は土地の名前である。
トーゴの北東部に位置するこの土地に少数民族のバタマリバ(Batammariba)の人たちが伝統を守りながら暮らしている。
彼らの暮らしは家屋や仕事、農地など自然環境全てが独自の信仰・儀式に関連しているのが特徴である。
このような文化的景観の観点から2004年に世界遺産として指定された。
人の顔に見える?村の建物。
村に入ると広大な土地に整然と並ぶタキヤンタ(takienta)が迎えてくれる。
泥で作られた細長い様式は本当にユニークな形をしている。
タキヤンタをじっくり見ていると何かに見えてくる。
そう、人の顔である。
一緒に旅をしているヤオに
と言われたが、アートのかけらもない私には逆立ちしても人の顔には見えなかった。
人の顔に見えることにしておこう。
タキヤンタの入り口は口、窓は目、石臼は歯、穀物の蔵は胃を表していると言われている。
このタキヤンタは成人になったバタマリバの人しか建てることができない。
この建物は大人になった証拠である。
アフリカの成人式と言えば、
ライオンを殺したりバンジージャンプをやったりして成人になるんだと思っている皆さん。
バタマリバの人たちは少し変わった成人の儀式を行う。
バタマリバの少し変わった成人式
どんな成人式を行うかと言うと、
新成人の家の前に集まって、互いに鞭や斧を使って打ち合う
といった方法だ。
聞いただけで痛い!
ライオンを捕まえるよりもバンジーするよりも恐ろしい。
新成人よりもすでに成人になっている人たちの方が苦労する文化だそうだ。
この伝統のおかげでバタマリバの人たちは「我慢強い」と言われている。
若い人たちは「忍耐力が強いです!」と街で仕事を見つけるときに謳い文句にしているらしい。
ちなみに新しく新成人になる人は誰にも見られないように家の中にじっとして入れば晴れて成人として認められる。
素敵なガイドさんとの出会い
彼らの暮らしを覗いて回っている時に「Konnichiwa!」と日本語で話しかけてくれた男性がいた。
それがニャシンベさんであった。
この村出身である彼は村一番の成績優秀者と言うことでフランス系NGO団体から無償で大学まで教育を受けた。
その後、フランス系企業に就職し、村一番の金持ちとなったそうだ。
休暇で村に戻る時は裕福でないこの地域の人たちにヤギや米などの生活必需品を、子供達には美味しいお菓子をたくさん買って帰っていたそうだ。
村で一番のお金持ちになり名誉も手に入れたニャシンベさんであったが、
40歳を手間に転機が訪れた。
姉の子供がわずか3歳で亡くなってしまったのだ。
亡くなった理由は風邪をこじらせてしまったからである。
ニャシンベさんはその時に初めて風邪を治療する薬さえ買えない村の貧しさに気づいたという。
彼は会社を退職し、この村の伝統的な暮らしが現金収入に繋がるのではと考え、
ガイドとなった。
アクセスが良い訳ではない為、訪れる人は多いとは言い切れない。
しかし、はるばる遠くから訪れた観光客に誠心誠意でおもてなしをしている。
多くの人たちに少しでもこの土地を知ってもらい、訪れてもらえるよう、
バタマリバの人たちの暮らしをたくさん教えてくれる。
観光客をもてなしている傍ら村の子供達に数の数え方やフランス語を教えている。
子供達がもう少し大きくなって最低限の商売が出来るようにする為だ。
英語圏の人にも訪れてもらえるようにと自身も英語を勉強中というニャシンベさん。
お金を持っていた時も楽しかったけれど、この村の為になっていることも楽しいという彼を
応援せずにはいられなかった。
出来る限りこの土地にお金を落としていく事が唯一、私が出来る事だった。
いつの日かまたこの土地を訪れるぞと思いながら、
クタマクを後にした。
クマタクへ行ってみたい人へ
5万ヘクタールもの広大な土地にバタマリバの人達の生活が融合されたまさに圧巻の土地。
一見原始的にも見える建物だが、彼らの脈々と受け継がれている生活と自然の融合が非日常の体験を加速させてくれる。
入場料は1,500CFA(約280円)。
<アクセス方法>
行き方はLomé(ロメ)→Kara(カラ)→Koutammakou(クタマク)という実にシンプルな行き方である。
ロメ→カラ
まずはトーゴ北部の主要首都、Kara(カラ)を目指す。
カラまでの高速バスはブルキナ資本の会社、Rakieta(ラキエータ)社が毎日1便運行してくれている。出発は7時半。
バス運賃は片道6,000CFA(約1,100円)。なんと冷房付きで暑さには困らない。
約7時間の道のりである。
乗り場はラキエータ社の車庫?のような場所から出発するが、郊外に位置している。
分かりにくいうえ歩いて行くのは困難な為、バイクタクシーを使う方が無難である。
行き先を告げる場合、バス乗り場があるAtikoumé(アティコメ)と言う地名を言った方が通じやすい。
私が乗った高速バスはタイヤが溝に落ちたりガス欠を起こしたりで12時間かかってしまった。
カラ→クタマク
クタマクはカラからさらに北に60km進む。
バスに乗っても良かったが、なかなか出発しないのでバイクタクシーを使ってクタマクへ。
バイクタクシーで1時間くらい。
値段は交渉して1日貸切の2,500CFA(約450円)と素敵な美味しいレストランを紹介してくれたから、チップもお渡し。
<注意>
◇唯一の世界遺産であるが、観光地化はほとんどされていないと言っていい。
…勝手に村を歩くとトラブルの元になる為、村の入り口にある小山で入場料を支払って、村長さんに挨拶をしよう。
◇見学中、大声を出したり足音を立てたりするのは厳禁。特にタキヤンタは先祖の霊が宿るところである為、もっとも注意が必要。
◇写真撮影は可能だが、人が写り込まないように撮影するのがマナー。
…人が写った写真を撮る場合、お断りを入れ必要であれば現金を支払う。私の場合、交渉して2,000CFA(約360円)で1日撮影可能としてもらった。
<こんな方におススメ☆>
◆自然と伝統文化の融合に触れてみたい人
◆訪れたことがある人が少ないところへ行ってみたい冒険心がある人
◆長時間のバス旅でも予期せぬ出来事が起こってもへっちゃらな人
◆この記事を見て興味が湧いた人
つづく。