”たった今、あなたの生活から電気がなくなってしまったら、あなたの生活はどのように変化するでしょうか。”
具体的に想像できますか?
きっとこの記事を読んでくださっている人の中には、それをイメージできる人の方が少ないと思います。
私も、ボツワナでの生活を始めるまでは、電気のない生活などほとんどイメージできていませんでした。留学が始まり、一生分の停電を経験してきた今となっては、容易にイメージ可能ですが。笑
それほど我々先進国の人間の生活は、電気という素晴らしい発明に支えられているのです。
申し遅れました、私は名をSUKEと申します。
現在、大学を1年休学してボツワナ共和国に在留している、いたって普通の大学生です。
いたって普通の大学生がボツワナで生活している様子を、YouTubeとブログにて発信していますので、ご覧いただけますと幸いです。
なぜそんないたって普通の私がボツワナに滞在しているのか、はじめにその理由を記したいと思います。
この記事の目次
私がボツワナに来たわけ
それは電気にアクセスすることのできない地域、つまり無電化地域に住んでいる人々に電気へのアクセスを提供するためです。
我々日本人は、電気があって当たり前、電気がなくては生きていけない環境で生活しています。近年では、オール電化やIHなど、電気のみを使用して暮らすという生活様式も増加の一途をたどっていますね。
しかし世界には、我らにとって当たり前である電気へのアクセスを持たずに生活をしている人が、数多く存在しています。
その割合がとりわけ多いのが、今私がいるアフリカ大陸。
2014年のデータによると、世界の無電化地域の人口は約13億人で、サハラ以南のアフリカ諸国の電化率はおよそ32%という超低水準に留まっています。
これはつまり、単純計算でサハラ以南の国に住んでいる人々のおよそ68%は、電力へのアクセスを持たずに生活しているということを意味しています。
そんなデータを偶然ネットサーフィン中に見つけた私は、これを大きなビジネスチャンスなのではないかと捉えました。
しかし、一般的に電力へのアクセスを生み出すためには、莫大な資金が必要です。
プラントを建設して、電線を整備して、などなど、そこにかかるコストは、普通の大学生が払えるスケールの金額とはかけ離れています。
ですが、これは一昔前の話です。
化石燃料からの脱却を図る現代社会には、電力網やプラントを整備せずとも使用できる発電方法が存在します。
そう、それは太陽光発電。
そんなことを考えていた2018年春、その1年後には気づいたらボツワナにやってきていました。
私は無電化地域の人々に、太陽光発電を通じて電力へのアクセスを提供するためにこのボツワナ共和国に留学を決めたのです。
ボツワナとは?
ここまで読んでくださった人の中にはこのような疑問を持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか。
「そもそもボツワナってどこ?なんでボツワナ?」
疑問を持ってくださって嬉しいです。
ここからはボツワナ共和国がどんな国なのかを簡単に紹介していきます。
ボツワナってどんな国?
ここからはボツワナについてちょこっと紹介していきます。
日本人にとって、ケニアやシエラレオネなどと比較すると、非常にマイナーな国であるボツワナですが、実はすごい国なんです。
ボツワナは、アフリカの雄である南アフリカ共和国の1つ北に位置する国で、南部アフリカに分類されており、南アの他に、ジンバブエ、ザンビア、ナミビアと国境を面しています。
そんなボツワナは、一般的なアフリカ諸国のイメージからかけ離れた特徴を持っている国なのです。ボツワナを語る上で外せない特徴は2つあります。
「お金持ち」であるということ
一般的なアフリカ諸国のイメージは、「貧困」や「飢餓」というマイナスイメージが先行しがちですが、ボツワナはその潤沢な歳入のおかげで、社会保障を充実させることができており、他のアフリカ諸国と比較して非常に国民が安定した暮らしをすることができています。
というのも、ボツワナには産出量世界2位のダイヤモンドという莫大な資金源があり、国家レベルで採掘や加工産業を管理し輸出することで、政府歳入のおよそ3割を占める非常に大きな財源として活用しています。
ボツワナのすごいところは、ダイヤモンドで得た莫大な歳入を政府がうまく国民の生活に還元しているところです。
正直、アフリカ諸国では政府の非常に利己的な政治のせいで、国民が全く国家に守られていないという事態がたびたび起こっておりますが、ボツワナは違います。
ボツワナはその大きな収入をしっかりと国民に還元して、医療費や学費の無償化など様々な素晴らしいガバナンスを行なっているのです。
ダイヤモンドの輸出で「お金持ち」になった政府が、しっかりと国民の生活を守ろうとトライしていること、これがボツワナの1つ目の特徴です。
「平和である」ということ
僕がボツワナを留学先として選択した理由は、これが一番に挙げられます。
ボツワナはアフリカの国々には珍しく、独立以降1度も紛争や戦争を経験していない国です。
これは国民がほとんど同じツワナ人であるということと、前述のグッド・ガバナンスに起因しているのだと思います。
ですので、ボツワナ人は基本的に何が起こっても穏やかで、大体の人々が「なんとかなるさ」といった感じで日々を過ごしており、治安も非常に良いです。
この「平和である」という特徴が、ボツワナを語る上で欠かせない2つ目の特徴です。
しかし、この2つの特徴が仇となり、ボツワナの変化を妨げている側面があるというのも事実です。
ボツワナの課題
ボツワナでは、ダイヤモンド産業のみでかなりの収益を見込め、安定しているがゆえに、それ以外の産業がほとんど発展する傾向を見せていません。
なので、国民のエリート枠が公務員かダイヤモンドに関連した企業に就職し高給取りになる傍、それ以外の人々は小売などの比較的低賃金な労働に従事します。
つまり、国単位ではお金持ちに見えますが、ミクロな視点で見ると非常に貧富の差が激しい国となっているのが現状です。
そのため、インフラの発達も非常に地区によって差があり、国民のおよそ20%が電力にアクセスすることができていないと言われています。
加えて、産業が発展していないことから働き口が少なく、国の失業率はおよそ20%という値になっております。
よく街を歩いていると、「仕事をくれチャイニーズ」と言った風に声をかけられるのですが、その原因はこの失業率によるものなのですね。
とても良い国に見えるボツワナですが、他のアフリカ諸国のように解決しなければならない課題は山積みです。
記事を通して伝えたいこと
ここまで長々とボツワナについて、自分について書き連ねてきましたが、つまりこの記事を通じて私が言いたかったことは、
- 世界には無電化地域で暮らしている人々がたくさんいるということ
- それをビジネスチャンスと考えてボツワナに乗り込んだということ
- 日本人には知られていない国だけどボツワナはすごい国だよということ
の3点です。
この記事を読んでくださった方が上記の3点について1つでも興味を持ってくださると幸いです。
また、ここまで色々と理由を並べて、まとめまで書いてみましたが、結局僕が今ここにいる理由は、「ラストフロンティア」と呼ばれるアフリカをプレイヤーとして肌で感じてみたかったというところに尽きます。
その好奇心が、今私がボツワナにいる理由です。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。