『タンザニア、マダガスカル。つなぐ、日本と各国のこれから。』

(取材日)2018723()

取材者:坂本 雅咲

同行者、撮影者:桐葉 恵

 

担当者様:日本貿易振興機構(JETRO) 海外調査部

主査(アフリカ担当) 小松崎 宏之 (こまつざき ひろし)

 

 

独立行政法人日本貿易振興機構(以下:JETRO)は、40以上の日本国内拠点に加えて世界各国70か所をこえる事務所を構えている。その広域な情報網を駆使して貿易や投資の促進と現地の調査や研究を通し日本の経済・社会発展への貢献を果たしている。

 

 

JETROホームページ

https://www.jetro.go.jp/

 

 

Tokyo Africa Collection 2018 では、前回ショーでフィーチャーしたタンザニアと今回新しくコンセプトに加わったマダガスカルをテーマにした作品を発表します。みなさんにとって、マダガスカルといえば、映画にもあるように動物大国!のイメージが強いかもしれません。今回のインタビューでは、過去のケニア駐在時にタンザニアおよびマダガスカル向け事業を経験されたJETRO海外調査部 主査 小松崎氏に、経済的な観点や文化的な視点から見た二か国をご紹介いただきました。

 

 

坂本:
弊団体では、アフリカ各国の知られざる魅力や、「アフリカ」というワードにステレオタイプを抱いている日本人がアッと驚くような魅力にフィーチャーしたファッションショーを開催します。そこで今回はタンザニアとマダガスカルが持つ、他国にはないような特徴的な要素を知りたいのですが。

 

小松崎氏:
マダガスカルはインド洋に浮かぶ島国でアイアイ(サル)などの独自の動植物が生息していることはみなさんご存知だと思いますが、アフリカ大陸とは一味違う様々な地域の文化が入り混じった雰囲気は特徴的です。

 

田園風景が広がる緑の美しい風景や主食に米を食べる文化がありアジアのような雰囲気も持ち合わせながら、フランスによる植民地時代の名残もあって、アフリカでありながら欧州やアジアのような雰囲気が感じられます。

 

食文化もかなり豊かで、フランス料理が現地に根付いていて、朝の街頭ではフランスパンが売られている光景を見ることもできます。現地の食材でいうと、ウナギも地元料理に使われています。日本のウナギが品薄だった年に、マダガスカルから輸入していたこともありました。

 

タンザニアは、本土のタンガニーカはンゴロンゴロやセレンゲティのサファリでみられる野生動物、アフリカ最高峰のキリマンジャロが魅力でしょうか。また、本土タンガニーカと連合共和国を構成するザンジバル島はビーチリゾートや香辛料貿易で有名ですが、ストーンタウンという世界遺産に登録されている独特な街並みがあります。ザンジバルはロックバンドのQUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーの出身地でもあり、生家など縁のある場所が今もあります。

 

タンザニア全体に言えることはアフリカの中では治安が比較的よく社会が安定していることですね。

 

どちらの国も生産しているモノとして、かつてエッセンシャルオイルにも取り組みました。クローブやイランイラン等の各種様々な香りのオイルが揃っていて、豊かな香りも魅力の1つです。

 

坂本:
なるほど、マダガスカルは旧宗主国であるヨーロッパの影響を受けつつ、アフリカ圏の国であるにもかかわらず、豊かな多面性を同時に感じられるのですね。そしてタンザニアには有名な観光名所に加えて世界遺産もあり、ポップカルチャーともゆかりの深い国であることが分かりました。

 

【日本と2か国の意外な繋がり】

 

坂本:
では、タンザニアとマダガスカル、それぞれの国と日本との関係性についてはいかがでしょうか?日本企業の進出具合や、現在JETROで推進中の事業はありますか?

 

小松崎氏:
英語が公用語のタンザニアなどの東アフリカは、日本企業も進出しやすい面があり、タンザニアは先ほど説明した通り治安も比較的良く、経済も好調なので、進出数はアフリカの中では多い方ですね。また邦人が現地で起業するケースもあるようです。また、天然ガスの開発に伴い、火力発電を手掛ける大型案件もあります。

 

マダガスカルでは、日本の商社が、韓国やカナダの企業と協力してニッケルやコバルトの開発を中心に事業を進めていて、マダガスカルにとってこれらの資源は外貨獲得や地元の雇用確保の大きな機会となっています。

 

また、バニラは昔から評判がよく、日本もマダガスカルから輸入していますし、日本からは主に車両などを輸出しています。加えて、日本はマダガスカルのインフラ整備にも貢献をしていて、港の改修を行っており、日本の建設会社が現地にオフィスを構えています。貿易などビジネスの拡大に、港の役割は重要です。貿易の活発化に向けて港の能力向上を図っています。

 

しかしながら、これらのような繋がりはあってもマダガスカルにおける日系企業の進出はまだ少ないというのが現状です。

 

【日本企業進出とその条件とは?】

 

坂本:
では、日系企業が今後マダガスカルで進出しやすい環境が整う条件には何が挙げられるとお考えですか?

 

小松崎氏:
先ほどお話したインフラなどビジネス環境の整備は求められるでしょう。また、マダガスカルでは繊維業も有名ですが、以前に暫定政府の時代に、貿易や外資進出が滞り、産業がダメージを受けたことがあります。

 

政治が安定していないと、日系企業の進出にはハードルとなることもあるでしょう。今秋に行われる予定の大統領選挙の動きには注目すべきでしょう。

 

坂本:
なるほど。日本企業が進出するために、政治的安定も重要な条件であるということですね。このような改善が必要な点に関連して、タンザニアとマダガスカルのこれからについてお話をいただけますでしょうか。

 

小松崎氏:
外資を呼び込むためにどのような取り組みがなされるのか、今後の動きが気になるところです。タンザニアでは天然ガスなどの資源は注目されています。伝統的な食品でいうとクローブやコーヒー、ゴマも日本に輸出され、毎年3月に幕張で開催されるFOODEX JAPAN(国際食品・飲料展)でも、それらの出展がありました。最近ではダルエスサラームの新交通システムなど、インフラ面で新しい動きも出ています。

 

マダガスカルに関しては、伝統的なバニラ輸出に代表されるように、FOODEXでの出展を通して、外貨獲得のチャンスを狙っています。先ほど話したように稲作など農業が盛んですので、日本企業にとっても何か農業関連で機会はあるかもしれません。

【2か国の、これから。】

坂本:
そんな将来性がある2か国に対して、日本企業あるいは日本が今後取るべきアクションはどのようなものでしょうか。

 

小松崎氏:
日本政府のアフリカ向け重点方針の1つは、「質の高いインフラの提供」です。マダガスカルで日本が進めている港の改修工事のようなインフラや物流網の整備も挙げられるでしょう。現地への日本企業の進出の可能性を探るうえでも、インフラや物流面の充実は重要でしょう。また、最近のキーワードの1つは「第三国協力」です。フランスやインドなど、アフリカに知見やネットワークを持つ国との協力も1つの選択肢でしょう。

 

お話を伺い感じたことは、アフリカ地域全体における日系企業の進出がより積極的になってきている印象でした。今後さらに多くの企業が進出のチャンスを得るための条件は政治体制や地域文化、保有資源の可能性などにより多様で複雑です。しかし、我々Tokyo Africa Collectionが開催するファッションショーでは、各作品を通してアフリカに対するポジティブな印象を日本社会に届けることで、日本人の感じる心理的なハードルを取り除き、日本経済の活性化の第一歩となることを目指します。

 

 

坂本 雅咲 埼玉大学教養学部4年

担当国:タンザニア、マダガスカル

 

 

 

 

 

 

 

 

詳細及びチケットはこちらのHPから☟
https://www.tokyoafricacollection.com/

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https://camp-fire.jp/projects/view/89007

 

 

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