さて、前回の記事で書いた通り、海辺で出会ったヤオにトーゴの魅力を案内してもらうことに。
▽前回の記事はこちらから。
この記事の目次
ブードゥーマーケットに突撃
どこへ行きたい?と聞かれ、最初にリクエストされたのは
「ブードゥーマーケット!!!!」
であった。
トーゴというキーワードで検索してもらうと、間違いなく上位に出てくるこのワード。
呪術に使うありとあらゆるものが揃っているのがこのマーケットである。
「この科学が発達している現代に呪術、、、ぷぷぷぷ」
と思われる読者さんもいらっしゃるかもしれないが、西アフリカ地域はまだまだ根強く残っている宗教の一つ。
ブードゥー教について
ダカール大に通っていた時、クラスメイトの1人が、
と大真面目に教授から休みの許可をもらっていたのを目にした。
トーゴ出身のサッカー選手が自身にかけられた呪いを解くために帰国したとニュースにもなる。
ありえないと思われがちな呪術の話が21世紀になっても身近で起こっているのだ。
日本では聞きなじみのないブードゥー教。
一言で表すのは難しいが、私は動物の霊を信仰する民間信仰と理解している。
西アフリカだけではなくアメリカ南部やカリブ海周辺の国々でも信仰されているブードゥー教。
地域によって読み方が違うという点も面白い。
日本語のサイトでも検索をかけると出てくるが、誤解を与え、恐怖心をあおるようなものが多いように感じる。
ブードゥー教をおおまかに分かるおススメの記事はこちら。
ちなみにトーゴ出身のメンバーが所属している「Vaoudou Game(ヴォドォウ ゲーム)」というバントがフランス中心に活動している。
儀式に使用する打楽器や伝統的な旋律を楽曲に取り入れている等、ブードゥー教の音楽が現代風にアレンジされている。
ちなみに今年のフジロックにも出演している彼ら。
ブードゥー教って難しいわ!というあなたには音楽から感じてもらうのもいいかもしれない。
いざ!マーケットへ!
このマーケットはロメの中心地から約4km離れたところにある「Akodesewa(アコデセワ)」というところに位置している。
事前情報では外国人は入場料を取られるがガイドが付いて来てくれて案内してくれると聞いていたが、私は取られなかった。誰も案内してくれなかった。
そんな悲しみの中マーケットに足を踏み入れると、
ここはどこ?という衝撃と、
こんな世界があるのかという感動を覚えた。
カメレオン、トカゲ、ネズミ、小さな小鳥たち、そしてかわいいワンちゃんも
ありとあらゆる動物がミイラになっている。
バッファローの角やサルの頭なんかもズラーっと並んでいる。
間違いなくワシントン条約に引っ掛かる代物も置いてある。もちろん購入可能だが、その後は自己責任となる。
ちなみに小動物などは彼らが殺して干している訳ではない。
自然にお亡くなりになった動物たちを売っている人たちがいて その方から買うようだ。
これぞトーゴ流サステナビリティだと感心した。
「さっきお亡くなりになったので今乾かしています!」っていう動物たちもちらほら。
これら動物のミイラや骨は呪術にもちろん使われるのだが、頭が痛い時に小鳥の骨を細かく砕き飲むと良いという漢方的な役割もある。
ちなみにサルの頭の粉末は興奮剤、カメレオンの粉末は精力剤になると素敵なトーゴ男性から情報を頂いた。
そのほかにも家の中に置く魔よけや安全祈願を願うお守りといった使い方をする。
言わば日本のお守りや破魔矢と同じような使い方をする。
出た!呪いの人形!
と思った釘まみれの人形はお土産用だそうだ。
「呪術」と聞くとネガティブなイメージを持ちやすいが、本来は家族や他人の幸せを願うものだそうだ。
コジョとの出会い
マーケットを散策しながら、気になるあの子に効果抜群?の惚れ薬を吟味していると
「ニーハオ!」と元気よく声をかけてきたのが、コジョとその仲間たちだった。
コジョはとにかく好奇心旺盛で人見知りもしない。
よく観光客と話をするのかどんどん英語を使って話してくれる。
彼はマーケットの近くに住んでいるようでここがいつも遊び場になっているとのことだった。
日本でいう秘密基地なのだろう。
確かにこの場所はうってつけだった。
そんなコジョは大きくなったら叶えたい夢があると語ってくれた。
なんじゃそりゃーーーーーーと心の中で叫びつつ、叶うといいねと微笑んだ。
冷静でいる心の中の自身は多分不慮の事故とか病気で亡くなってしまったのだと考えた。
しかし、それは「日本」で培われた価値観であってそのフィルターを通して聞いてはいけない、そう言い聞かせつつ、でもありえないという葛藤を心の中で繰り返していた。
ヤオは「きっと嘘だよ」とこっそり耳打ちしてくれたが、どうしてもコジョの目や表情からは嘘だとは思えなかった。
その後、コジョが勉強している蛇に戻れる呪術をかけてもらったりトカゲのミイラの使い方を教えてもらったりしながら、やっぱり気になっていた惚れ薬を買い、マーケットを後にしたのだった。
実際に目で見て匂いを感じて現地の人と語らうと、ネットで面白おかしく描かれている「黒魔術」はそこにはなく、ヤオが教えてくれたように伝統ある「アフリカ最古の薬局」の雰囲気があった。
そこは平和が流れていた。
マーケットの詳細情報
★Marche de fetiches
英語では「Fetish market」と言えば通じるが、通じるかは尋ねる人によりけり。
- 入場料:3,000CFA(約500円)
- 写真撮影代:2,000CFA(約400円)
※英語のガイドが付いてきてくれるが、いつもそうとは限らない。
<アクセス方法>
ロメ中心地からバイクタクシーで400CFA程(約70円)
※私たちは外国人、値段を2倍以上吊りあげてくる場合があり交渉が必要
<注意>
観光地にはなっているものの地元の方やブードゥー教信者も多く訪れる為、節度を持った行動を。
特にインスタ映えを狙い、商品にむやみやたらに触ることはトラブルの元。
<その他>
12月に催事があるようで牛の血を捧げ、ダンスを踊るのだそうだ。
誰か私の代わりにレポートしてきてほしい。
購入の意思がないことをはっきり伝えるとしつこく勧誘はしてこない。
<ブードゥー教マーケットにアクセスすべき人はこんな方>
- 怖いものを見たいor大好きな人。
- 人生にちょっとしたスパイスを加えたい人。
- 誰かに呪いをかけたい人(一切の責任は取れません。)
- この記事を読んでワクワクした人。
つづく。