「世界で一番命の短い国」シエラレオネ共和国で就労支援活動に取り組むNPO法人アラジ代表の下里夢美です。

前回の記事

前回の記事では、私たちの取り組んでる、アフリカ布を使って仕立て屋(テイラー)さんたちの収入を支えるプロジェクトについて紹介させていただきました。

今回は、現地で突然起こった大火事と「現地の人々との意外な価値観の違い」ついて連載していきたいと思います!

 

突然の大火事発生!活動地がすべて燃える。

たまたま現地でどんなことができそうか調査を続けていた第2回目の現地渡航で、仕立て屋さんとのビジネスがはじまったころ、近所がすべて燃えました。こちらは、私のゲストハウスのバルコニー(2階)からみた風景。※火災のあった近所の風景ではありませんが、人々はこのようなトタン屋根のお家に住んでいます。

実際に火事が起きた時の様子。大きな煙が火柱とともに上がっています。道路は荷物を持って避難する人々でいっぱいになりました。

もともと300名ほどの住民が住んでいたエリア。私たちが一緒にお仕事をしているテイラーさんのショップはコンクリートの壁が一枚隔てられていて無事だったのですが、多くの仕立て屋さんたちが全財産と家を失いました。

 

シエラレオネはなんと、首都のフリータウンであれど「月・水・金」しか公共のお水が使えません。乾季だったのですが停電が続いていて、ろうそくの火が、家庭用の小さな発電器に着火して爆発したんだろうという噂がありましたが、真相はどうやら…。 この火事で一人の犠牲者も出なかったことが不幸中の幸いでした。

↑この写真は、爆発の5分前まで現地パートナースタッフとおしゃべりしていた場所。あと少し遅かったら火災に巻き込まれていたかもしれません。周囲はすべてを失った人々でパニック状態でした。アラジもオーダーの布をごっそり失いました。

テイラーのスフィアンは33歳。3人の娘さんがいて、奥さんは4人目を妊娠中です。火事ですべてを失いましたが、アラジからオーダーを継続的にとりつづけ、家の建てなおしが順調に進んでいます。彼は一番私たちの希望を組んでくれ、最速でドレスを仕上げてくれるベテランテイラーです。テイラーさんたちの収入はすべて子どもの学費や家族を養うために使われていました。彼は月収を3倍にあげることができ、2018年2月にははじめてスフィアンのもとに弟子がきました。

スフィアンの奥さん。4人目が女の子だったら「Yume」ってつけるわ、と言ってくれました!

火事の現場へ近づかないようにと注意喚起が…勘違いしていた意外な現地人の価値観

「もう近所で活動するのは控えたほうがいいよ」

火事のあった次の日、停電が復活しネットに繋いでみると、シエラレオネで知り合った様々な海外からの政府関係者の人たちがニュースで火事のことを聞きつけ、心配メッセージを送ってくれていました。もともと貧しい暮らしをしていた人々です、私のように何もかも持っている女の子が現場に近づいていったら危ないだろうと、注意喚起のメッセージでした。

次の日火事のあった近所へ足を運ぶと意外なことに、みんな新しい布を巻き付け、サンダルを履いて、道端で近所の人たちが一緒になってごはんを食べていたのです。

涙の筋の残る頬、でも笑顔いっぱいで。

「Yume~ぜーんぶなくなっちゃったわよ!笑」

誰もがみな一人ではなく、誰かと寄り添って事実を受け入れているようでした。今後私たちで一緒にアフリカを布を使って商品を制作していく、いつもお世話になっている女性たちに、少額のお見舞金を手渡ししました。それからもずっと彼女たちとはいい友達です。




~お金の支援は出口のない支援なのか~活動の持続可能性とは?

火事で家を失ったテイラーさんたちが働くテイラーストリートの前は、大きな孤児院「ドンボスコ」があります。火事で家を失った家族は一時ドンボスコに避難していたのだけど、徐々にユニセフの建てたテント生活がはじまりました。ユニセフのテントでは、男女が共に生活をすることができません。今回の火事で1年以上離れて暮らすことになったしまった家族を、私たちのテイラーの収入を支え、一緒にものつくりをしていく事業で、家を再建し、再び家族が一緒に暮らすことができるようになりました。

お見舞金を渡した私に、周りからは賛否両論がありました。けど、普段から私、ドンボスコの前で死にそうになっている孤児たちに、お金あげて食べ物食べさせてあげています。笑

私たちがお付き合いしているテイラーさんたちは、生活を順調に取り戻しはじめ、近所で困っている孤児に食べ物やお金の支援をするようになりました。近所で経済を回し、支え合い、シエラレオネの人々が自分たちの助け合いでちょっとずつよくなっていく。そんな未来を感じました。

私自身も、目の前で倒れそうな孤児がいたら、お金の支援をしています。最近日本では「Polca」、流行ってますよね。少額の支援をネット上で集めることができるアプリです。旅費だったり、医療費だったり、生活費もポルカやクラウドファンディングで集める人もいます。孤児やホームレスにその場しのぎでお金をあげるのはOKか?……正解という答えはないのだと思います。

シエラレオネの人々には政府からのセーフティーネットがないばかりか、何かにエントリーするチャンスもありません。私たちの活動ビジョン「誰もが夢への達成に向けて平等にステップを踏める世界」の、現実とはこういうことです。

小さなNGOやボランティアのあなたがいる意義。私たちは今一番困っている人を、いつだって見つけることができる

短期ボランティアで海外へ行く皆さん、ストリートチルドレンを若干煙たく扱っていませんか。前に出された小さなその手を、見て見ぬフリをしている人がほとんどだと思います。なんだか全然、対話が足りてない!本当は、彼らともっと対話して、彼らが今一番必要なことに手を差し伸べることが重要。出会ったその日は食べ物の100円分くらい、食べさせてあげたらいいじゃないですか。それで孤児院に入れてもらえるよう、近所のスタッフを説得する。それだけで、救える命・変わる人生があると思います。

ただ今もっと素敵なことに、私たちが一生懸命孤児やホームレス支援の仕組みを作るまえに、地域の人たちで助け合える雰囲気ができていています。テイラーさん12名の収入を支えるこのプロジェクトは、この小さなコミュニティにちょっどずつ変化をもたらしています。

 

次回は、現地のテイラーさんと仕事をする大変さについて、赤裸々にお話しします。最終章です。

次回→「最終章:アフリカの人々とビジネスする上での最大の苦労とは?継続する上で本当に大切なこと」-世界で一番貧しい国「シエラレオネ共和国」でアフリカ布を使って就労支援に取り組む、ただ一人の日本人女性起業家連載③

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