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Jumbo-ジャンボ!2回目の連載になります、きゃのんです。
前回、牛5頭と引き換えに求婚された話を書いたのですが、その記事を読んでくださった人から「牛5頭以上の価値はあると思うよ!」などフォローのお言葉をいただきました。元気出ました、ありがとうございます!(笑)
私がタンザニアに行った理由。それは、タンザニアの教育現場に飛び込みたかったからです。
タンザニアに行く前まで、私はスウェーデンに留学しており、スウェーデンの教育現場に視察しに行っていました。
直談判して断られたり、校長先生を質問攻めしたり、クラスメイトに混ざって授業を受けさせてもらったり…と、いろんな経験をさせて頂く中で、教師として教える経験をしたい、と思うようになったんです。
質の高いスウェーデンの教育を見た後、かなり環境は変わりますが、途上国の教育を支えるインフラ整備にも関心が出てきたので、タンザニアに行くことを決意しました。
素敵なご縁があって、キリマンジャロから車で2時間ほど離れた山奥にある中学校に行くことになりました。
そこでは、英語と地理と日本文化を教えていました。
バナナの木、アボカドの木、ゴムの木…。多種多様な木が生えている山の中。
「何語で教えていたの?」
とよく聞かれますが、英語で教えていました。
タンザニアの公用語はスワヒリ語ですが、中学校から全ての科目は英語で行われます。教科書も全部英語です。
タンザニアの教育制度は、小学校7年間、中学校4年間、高等学校2年間、そして大学は3年間またはそれ以上となっています。
中学校では職員室にひとつ机を準備していただき、他の先生方ともコミュニケーションを取りながら生活していました。
チョークが本当にすぐ折れるんです。毎日何本のチョークを消費してただろう…
ちなみに英語の教科書はこちら。
これが教科書だよって渡されたときは、思わず表紙を3度見してしまいました。
銃を持った人、事故に巻き込まれたぐしゃぐしゃの車。
かなり物騒…!
中身を恐る恐る開いてみると…
けっこう味気ないですが、でもなんだかじわじわ笑える絵がいくつもありました。
すっごくアフリカらしい例文があり、授業中笑いをこらえるのに必死でした。
「LESSON 1: A Cockroach in My Food」
ごはんの中にゴキブリが入っている、というお話です。
レッスン1から、クセが強い…!
店のオーナーと淡々と交渉している会話文が書かれています。
こんなシチュエーション、日常茶飯事なのだろうか。想像するとぞっとします。他にも、
「ヘビに噛まれて失明した男の話」
「マラリアにかかって病院に運ばれた時の話」
「お酒を飲んで酔っている状態でライオンと闘う話」
などなど、「アフリカらしいなぁ!」と思ってしまう話ばかり。
文法などのエクササイズは日本で使っている英語の教科書と同じですが、例文がこのように全く違って、普通に読んでいて楽しかったです。ブラックジョーク満載で新鮮でした。
地理の授業では気候を教えていました。
「じゃあ誰か、前に出てきてこの地図に赤道を引いてくれる人!」と言うと、半分以上の生徒がバッと手をあげました。
やる気のある生徒たちに囲まれながら、どうやったらもっとわかりやすく説明できるだろうか、どうやったら応用できる知識に結びつくだろうか、と試行錯誤する日々。
毎日授業後は教科書を予習し、寝る前には生徒が教えてくれたスワヒリ語をぶつぶつと唱えて覚えていました。
ちなみに、私は生徒から「マダムかのん」と呼ばれていました。
Tシャツ1枚に動きやすいユニ◯ロのパンツを履いていたので、上品な女性を彷彿させる「マダム」という呼び名に少し違和感を覚えていましたが、「今後マダムと呼ばれる機会はそんなになさそうだなぁ」と感じてからは、「マダム」と呼ばれる度に噛み締めておりました。
学校に行って驚いたことはたくさんありますが、一番びっくりだったのは…みんな私の髪の毛を触る!なでる!とかす!ひっぱる!
「マダムの髪の毛は本当に綺麗」「こんなにストレートな髪の毛、羨ましい」
枝毛を見つけて「ワォ!」と言っている生徒もいました。(汗)
アフリカ系の方の髪の毛は生えてくる瞬間からくりくりしているので、髪を伸ばすとアフロヘアーになります。
なので、ストレートで長い地毛を見ることはほとんどないようです。珍しがってたんですね。
女の子たちの髪の毛も、みんな1cmほどの長さ。髪の毛を洗うのは本当に楽だと言っていました。お湯が出ず、毎日ちょろちょろと出る水で頭を洗っている時は、「私も生徒のみんなくらいの髪の毛が短かったらいいのになぁ」なんて思ったことも多々ありました。
女の人にとって、髪の毛は自分がどれだけお金持ちかをアピールするひとつの象徴でもあるようです。
ウィッグをかぶったり、つけ毛を綺麗に編み込んでいたり。髪型をお手入れする経済力余裕があるのかどうか、髪の毛を見れば分かるんだよ、と教えてくれました。
この写真は、中学校で教えた後に行った、マサイ族が通う小さな学校の写真です。
ここでは4歳〜6歳の子どもたちに英語と算数を教えていました。
私が「授業に間に合わない!」と走っていると「なぁにそんな急いでいるの、ポレポレ〜」と先生たちが声をかけてくれるのも、タンザニアの素敵なところ。
「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」という意味。タンザニアの大事なポレポレ文化です。
何事も、ゆっくり、ゆっくり。
バスが遅れても、待ち合わせに来なくても、ポレポレだからしょうがないか!って全然許せちゃうんです。
このポレポレ精神、タンザニアに滞在している間にすっかり骨の髄まで染み込んで、日本に帰った時は時間の流れの速さに驚愕しました。(笑)
忙しい生活の中で、ポレポレ〜と自分に言い聞かせて、たまにはゆっくりすることも大事だなぁと思う今日この頃です。
みなさんも、ポレポレしていきましょう!
では、クワヘリ!
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