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意外なきっかけで、Mr. シロアリマンは誕生した。
「それはですね、実は普段は六本木のIT企業でエンジニアをしているんですね。そこの同僚から、昆虫食事業の話をもちかけられたんですよ。
『社内での新規事業コンテストに出そうと思っているから』ということで。それが2年前くらいの話です。
部署は違ったので、それまで接点はなかったんですが、アフリカって昆虫食のイメージがあるってことがきっかけで、話しかけてきてくれた。その時、彼らが考えていたのは、コオロギだったんですが、その話を聞いたときに、アフリカでいつも食べてたシロアリのことを思い出した。
それで『もっとおいしい昆虫あるよ』っていってシロアリのことを紹介したんですよ。 そこから、色々とシロアリのことを調べていく中で、シロアリのポテンシャルを知っていった。それが今のシロアリ活動の原点になっています。
「会社の同僚の方がきっかけだったとは!日本のシロアリといえば、家を食べる嫌なやつっていうイメージなんですが、そのシロアリとは違うんですよね?」
「違いますね。種類がそもそも違うんですよ。シロアリって日本では白のイメージはあると思いますが、アフリカのシロアリは茶色なんですよ。だから、この全身茶色タイツを着ています。」
「なるほど!だから、茶色のタイツなんですね。というか、なぜ社内のビジネスコンテストの話から全身タイツになるんですか?」
「結局、社内のコンテストでは実際に事業には繋がらなかった。でも、いろんな研究機関とかで、シロアリのことを勉強していく中で、どんどんシロアリってすごい可能性を秘めていることがわかってきた。社内でダメでも、このコンテストがきっかけで出来たチームで続けていきたいと思いました。
それが、今回のクラファンでのチーム Healthy Termite Productionです。
そしてどうやってこのシロアリのすごさを世の中に広めていこうかって、チームで話し合った結果、思いついたのがR1だったんです。」
「あぁ!そういうことなんですね!めちゃくちゃ真面目でアカデミックなきっかけだったんですね。てっきり、R1に出るのが目的で生まれたキャラかと思っていました。」
「そうなんですよ(笑)やっぱり最初からいきなり”昆虫食”を全面にだしてしまっても、虫に対する苦手意識もあるだろうし、中々すぐには広まっていかないだろうなって思ったので、まずは面白おかしく、知ってもらうことから始めようと思ったのが、シロアリマン誕生のきっかけでした。」
「いやー、いいですね!真面目なことこそ面白くって、最近対談させていただく方みなさん同じ想いを持ってる!」
過去の熱い対談記事はこちら↓
シロアリはケニアでも一般的な食材ではない!?
「今ではクラファンに挑戦されていて、(インタビュー時9/9時点)75万まであつまっていますよね。あと20日という中で、まず間違いなく成功されると思うのですが、達成後の動きを教えていただけますか。」
「ファーストステップは、私の母校であるケニア・ケリチョの3つの小学校・幼稚園で、 シロアリを使った持続可能な栄養改善、それからシロアリを安定的に供給するための技術確立のための事前調査をおこないます。これには実は、世界的に有名な某研究所の研究員の方にもご協力いただいています。」
「私たち、ナイロビいってましたけど、シロアリ食べたことないんですよね。」
「ケニアでもシロアリを食べるのは一部の地域ですね。私の出身のケリチョでもシロアリはたくさんいるので、食べるには食べますが、認識としては”子どものスナック”という位置づけです。なので、マーケットとかで売られているわけではないんですよね。
西のほうにいけばマーケットにもたくさん取引がされている場所もあったりするのですが、シロアリのすごさを知っているわけではない。シロアリはケニア全国でとれるので、シロアリマンの活動を通して、栄養価の高さをもっと人々に知ってもらって、収穫が増えれば栄養不足の人たちまで届けることが出来ると考えています。」
「地域によってシロアリを食べる、食べないの差もそんなにあるんですね。ケニア全体としては、シロアリは食べ物という認識はあるんですか?」
「食べられるという認識はあるのですが、積極的に食べた方が良い理由を知っている人はほとんどいないと思います。」
「そうか、こどものスナック程度の認識しかないから、それを日常的に摂取することですごく大人にもいいことがあるっていうのは、これからまさにシロアリマンさんが普及させていくところなのですね。」
「そういうことなんです。しかも、シロアリのいる土は実はすごく植物にもいいんですよ。実は、シロアリの中にはシロアリタケというキノコが育つきっかけになっている種類もいるので、更なる食材にもつながっていく。」
Mr. シロアリマンのバックにいる謎の人物!?
「なるほど。シロアリから派生するいいことがそんなにあるんですね。」
「だから、これからの活動を通じて伝えたいことがたくさんあります。」
「シロアリはケニアどこでもとれるんですよね?」
「とれます。」
「しかもめちゃくちゃ数が多いんですよね?とってもとってもなくならないってクラファンのサイトで読みました。」
「シロアリの将来はすごく広いんですよ。みんなあんまり気にしていないけど、正しい情報をきちんと知れば、ケニアの人もびっくりすると思うんです。めちゃくちゃいい昆虫です。ケニア国内にある、昆虫研修所との連携も考えています。拠点がケニアなのですが、アフリカ全土の昆虫食に広く関わりをもっている機関なので、ゆくゆくはケニアだけでなくアフリカ全土での活動も視野にいれています。」
「それがそのクラファン内にあった大人の事情でいえない機関なんですか?」
「いえ、そことは別ですね。それは日本国内の研究所で、そこでも実はシロアリの研究をめちゃくちゃしているんですよ。」
「まさかそこにドクターマトリョーシカも?」
「はい、そこにいるのがドクターマトリョーシカですね。」
「名前のインパクトがありすぎて、何かすごい奴がバックについてるぞって思ってたんですよ(笑)」
「いろいろな事情があってお名前は出せないということで、あちらから『ドクターマトリョーシカでいこう!』って提案を貰って、『マッドサイエンティストみたいに!』って(笑)とにかくシロアリのことが大好きで、語らせたら1時間以上ずっと話してくれますよ。」
「どこまでも楽しいチームですね!シロアリマンさんのチームって。素敵です。その先生との出会いはどんな経緯だったんですか?」
「シロアリマンとして活動発信をしている中で、先生の方から一度お話ししませんかとご連絡を貰いました。一般の人は滅多に入れないような施設にも入られてもらって、そこで一緒に生のシロアリ食べましたよ。」
シロアリのおいしい食べ方とは!?
「生のシロアリ!?シロアリって生で食べるんですか?」
「食べますね。シロアリの種類は3つあって、ワーカーとソルジャーと羽根つきシロアリ。ケニアでは羽根つきシロアリのみを食べます。」
「ケニアで羽根つきシロアリしか食べない理由はあるんですか?」
「おいしくないんですよ、他のシロアリは。でも鳥とか犬とかは好き。」
「動物との食べ分け出来てるんですね。面白い(笑)そもそも見た目って全然ちがうんですか?」
「全然違いますね。あと、この色です(自分のスーツを指さす)」
「シロアリの食べ方って他にもあるんですか?」
「一番慣れている食べ方は生ですね。」
「羽も一緒にまるごと食べちゃうんですか?皮みたいにとる、とかでもなく?」
「羽ごとです、羽根つきはねぇ、超うまいですよ。」
「うまいんだー!うわー!食べておけば良かった!(とにかく何でも食べてみたいタイプ)」
「あはは!大丈夫、大丈夫、2人ともまだまだこれからチャンスはありますよ!笑」
「メインは生食ですか?」
「生食もいけるし、シロアリシチューみたいにしてウガリと食べるのもいいですね。今はまだ、シロアリを食べるって誰もがするわけではないので、食べ方のパターンは少ないですが、今後シロアリ食が普及していけば、もっといろんな食べ方も研究されていくと思います。」
「パウダー状にして、うがりとかチャパティーなどケニアでは一般的な主食に混ぜ込むっていう記述もクラファン内で読んだんですが、粉末にする加工は難しくはないんですか?」
「難しくはないですね。先日、タイから食用シロアリを取り寄せて実際に粉末にする作業をしたのですが、ミキサーにかけて、すり鉢ですれば出来あがるので簡単です。実際に混ぜて食べてみましたが味も全く変わらないし、無味無臭でした。」
「ということは、あくまでも主食で食べよう!とかではなく、プロテインのような、栄養補助食の位置づけですね。これまでも、世界の隠されてきたスーパーフード!って色々と出てきてて”ミドリムシ”とかもありましたもんね。今後それがシロアリに変わっていく可能性もあるんですよね?」
「それは十分あり得ますね。しかも、単価もすごく安く出来る。少量の摂取量でいいのに、その効果は本当に大きいです。」
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