日本は、アフリカの貧困を作っている一因である。
今でもアフリカに対する植民地支配は終わっていない。
これを聞いてどう思われましたかでしょうか?
そんな訳がない。どういうこと?
など色々なご意見が聞こえてきそうですが、これらは事実なのです。
そしてこれらが、僕がアフリカで働く理由の一つでもあります。
今回はそんなお話をしていきたいと思います。
初めましての方へ
前回から【僕が東証上場企業勤務と結婚と大学院進学をやめ、アフリカで働く理由】という連載で寄稿させていただいております、内藤獅友と申します。巷ではナイケルと呼んで頂いています。
前回のをまだご覧なられていない方は、僕の自己紹介も含めて、先にお読みいただいた方が理解しやすいと思いますので、よろしければご覧ください。
▼前回コラムはこちら▼
では、以下前回からの続きになります。
アフリカの貧困には日本も大きく関わっている事実
僕が東証上場企業勤務と結婚と大学院進学をやめ、アフリカで働く理由として、前回は日本ではネガティブな偏見がある一方、ポジティブな面が沢山あるワクワク感やそれをいろんな方に伝えたいという想いを書きました。
実はもう一つ、アフリカに行こうと決めた理由があります。それは僕がニュースなどで見ていたアフリカのネガティブなニュースには、僕たち日本人も大きく関わっていたという事実を知ったことです。
当時の僕にとって、アフリカというのは完全に別世界の場所でした。つまりアフリカで起きていることと、日本で起きていることは全くリンクしていないというイメージです。
スマートフォンから生まれる貧困と紛争
僕たちが今や1人1台くらいの比率で持っているスマートフォン。あるいはタブレットやノートパソコンありますよね。
これらを生産するために、紛争、子ども兵、レイプ、児童労働などが増えているという事実をご存知でしょうか?
例えばコンゴという国を聞いたことはあると思います。正確には皆さんが知るコンゴはコンゴ民主共和国です。この国ではタンタルやコルタンと呼ばれるレアメタルが世界の60〜80%も埋蔵されている、資源大国なのです。そしてこれらのレアメタルは、先ほどのスマートフォンなどを生産する際に必要な鉱物なのです。
これらを巡っては最近ではなく、なんと100年以上も前から、紛争や貧困を生み出すきっかけとなっています。その利益のほとんどは、植民地時代はヨーロッパ諸国、現在は政府や武装勢力といったコンゴ人にしか還元がされていない状況です。
今でこそ食品に関しては〇〇国産やオーガニックを気にしたり、野菜に関しては誰が作ったのかを気にする習慣が日本人にも出てきましたが、このスマートフォンの部品はどこでどうやって作られているんだろう?なんてこと考えませんよね。
残念ながら、消費者である私たちだけでなく、生産者である企業もレアメタルの質や価格は気にはしますが、そのレアメタルを巡って損をしているから使わないという選択肢を取っている企業はほとんど皆無です。
こういった世間の無関心により、当たり前のように私たちが使っているものが、アフリカの貧困や紛争を生み出しているという事実を知ったのが僕は25歳の頃でしたが、正直それまでの25年間の人生が恥ずかしくなりました。
今もなお続く“経済的”植民地支配
「植民地支配」という言葉を聞くと、過去の時代の話というように学校でも習うと思います。確かに物理的植民地は終わっているのかもしれませんが、実際アフリカには“経済的”植民地として今も植民地支配は続いているのです。
具体的なケースをお話しましょう。西アフリカはほとんどがフランスに植民地化されていました。僕が住んでいるベナン共和国を始め、マリ、セネガル、コートジボワールなど沢山の国が支配されていた訳ですが、これらの国が今使っている共通通貨「CFAフラン」というものがあります。
共通通貨なので、その周辺国を旅行をする際は便利感じたりすることもありますが、経済的に見ると、現在もユーロとCFAフランは固定レートになっています。メリットもありますが、加盟国はフランスの国庫に供託金を預け、フランスの通貨政策をそのまま受けなければならない。というものです。
簡単に言えば、フランスの都合でこのCFAフランを使う国々は経済が左右される可能性が大きくあるということです。
今でこそ無理やり意味を変えていますが、もともとこのCFAフランのCはColonialの頭文字。すなわち「植民地化した国用の通貨」という意味です。
こういった通貨が今でも普通に使われているという事実を、何%の日本人が知っているでしょうか。
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