自然と人間の共存を目指してーケニアで学んだ大切なことー

皆さんこんにちは、信州大学4年次休学中の米田です。

 

第1弾の記事では、「僕がなぜアフリカに来たのか?」について紹介しました。前回の記事はこちら

 

僕は現在、トビタテ!留学JAPAN9期生として、アフリカのケニアと南アフリカを舞台に「野生生物保全と地域の発展を繋げる」をテーマにボランティア活動を行なっています。

 

現在は、ケニアでの全ボランティア活動を終え、南アフリカでの活動に向け準備をしているところです。そこで第二弾の今回は「僕がケニアで何をしていたのか?」について紹介します。

 

ケニアには計7ヶ月間滞在し、3カ所の異なる場所でボランティアをしていました。

今回はその3カ所のボランティア先の中から、第一弾で軽く触れたOloisukut Conservancyでの経験を皆さんに紹介させて頂きます。

1Oloisukut Conservancyとは?

最初に僕が活動させて貰っていたOloisukut Conservancyの情報を軽く紹介させて頂きます。

 

Oloisukut Conservancyとは?

  • ケニアの南西部、ナロックカウンティに位置するConservancy(動物保護区)
  • 総面積23000エーカー(約93km²
  • サファリのメッカとして世界的に有名なマサイマラ国立保護区に隣接
  • 野生動物の数が豊富でゾウ、バッファロー、サイ、ライオン、ヒョウ等の大型哺乳類に加え、300種以上の鳥類の観察が可能

というような場所です。

 

また大きな特徴として、野生動物の保護管理が国主導ではなく、109の土地所有者とそこに住む約1200世帯の住民によって行なわれている、という点が挙げられます。

 

住民参加型保全とは?

この「地域が主体となって進める保全活動」を持続可能に行なう手段として、サファリなどの観光業を通じて得られた利益を地域住民に還元する、という手法がとられています。

 

この手法は「住民参加型保全」と言われ、90年代頃からアフリカで注目されている保全方法です(この住民参加型保全に関する詳しい説明は第一弾を参照)

 

僕はこのOloisukut Conservancyで保全活動を主導しているOloisukut Conservancy Limitedさんのもとで、約2ヶ月間ボランティア活動をさせて頂きました。

2Oloisukut Conservancyでの活動内容

次にOloisukut Conservancyでの具体的な活動内容を1日の流れに沿って紹介していきます

7:00~8:00頃

起床して、朝ご飯。

朝ご飯はチャイ(ミルクティーのようなもの)とチャパティ(南アジアや東アフリカで食べられているクレープのようなパンの1種)が多かったです。

チャイとチャパティ

 

9:00~13:00頃

キャンプ地を出て、パトロールを兼ねたフィールドワークへ。

Conservancy内を毎日710キロ程徒歩で移動しながら、野生動物の写真や記録を取ったり、赤外線カメラトラップのデータなどを回収したりしていました。

 

フィールドワーク中はゾウ、バッファローなどの危険な動物に遭遇する危険があるため、必ずレンジャーが同行します。

レンジャーとは?
保護区においてその環境維持に関わる人達のこと。日々のパトロールや密猟者の逮捕、観光客のガイド等、重要な役割を担う。

 

キリン、シマウマ、インパラ、トピ、カバ等はほぼ毎日観察出来ました。

発見したキリンのデータを取る

カメラトラップからデータの回収

 

14:00~18:00頃

昼食とシャワー(水道がないため雨水!)を済ませた後は、Conservancy内にあるオフィスで事務作業。午前中に回収したデータを分析したり、書類を作成をしたりしていました。

オフィスの外観。電気が通っていないため、発電用に屋根にソーラーパネルが設置されています

 

オフィスの内観

 

滞在中、僕はフィールドワークやカメラトラップのデータなどから得られたデータを元にキリンとライオンの個体識別用表を作成したり、Conservancy内で起こったHuman-wildlife Conflict(ライオンやヒョウによる家畜の被害など)解決のためデータを分析して解決策を考案したり、日々の活動報告レポートを作成したりしていました。

カメラトラップのデータを分析する

 

また、これらの基本的な活動の他に、不定期でゾウのへの追跡用GPS設置作業や家畜への予防接種、養蜂、地元の大学への研究協力、トレーニングキャンプや地元のセレモニーへの参加、等の活動も行なっていました。ゾウにGPS設置することで、生態学的なデータを取り、生存確認をすることがより容易になります。

 

ゾウへの追跡用GPSの設置。麻酔銃で眠らせています

 

地元の人達にとって重要な財産である家畜を口蹄疫から守るため、予防接種は大事な作業です。(東アフリカ地域では口蹄疫が風土病として依然として存在)

家畜への予防接種

口蹄疫(こうていえき)とは??
口蹄疫ウイルスが原因で、偶蹄類の家畜(牛、豚、山羊、緬羊、水牛など)や野生動物(ラクダやシカなど)がかかる病気。感染すると、発熱したり、口の中や蹄の付け根などに水ぶくれができたりするなどの症状がみられます。偶蹄類動物に対するウイルスの伝播力が非常に強いので、他の偶蹄類動物へうつさないようにするための措置が必要です。日本を含めた、世界の様々な地域で問題となっています。(農林水産省HPを参照。)

養蜂活動を通じてできた蜂蜜は市場で売り、その売り上げを分配することで地域住民のエンパワーメントを図ります。

養蜂箱の設置。

地元の大学生向けの10日間集中トレーニングへ飛び入り参加し、保護区で保全活動を行う際に必要な知識を一緒に学んだりもしました。

 

 

180022:00

18:00頃に仕事を切り上げて、夕食(ウガリが多かった)を食べた後は基本的にフリーでした。

左側の白いものがウガリ。穀物の粉をお湯と混ぜて練り上げたケニアの主食。右側の黒いものは山羊肉の炒め物。

 

Conservancyで見られる夕焼けは最高です!

 

 

ただ、暗くなってから外を出歩いていると夜行性の野生動物と鉢合わせする可能性があるため、外出は出来ず(笑)、メンバー達と談笑したり、サッカーや映画を見たり、英語・スワヒリ語や野生動物についての勉強をしたりしながら過ごしていました。

 

22:00~23:00頃

そしてライオンやインパラ等の遠吠えをバックミュージックにして就寝(テント泊)!そのバックミュージックが大き過ぎて、夜中に起こされることがしばしばありました(笑)

1日の活動内容、流れはザッとこんな感じです。

3.2ヶ月間で学んだこと

2ヶ月間のOloisukut Conservancyでボランティア活動を通じて得たことは沢山ありますが、一番の大きな学びはアフリカの野生生物保全活動では「自然と人間、どちらが欠けてもならない」ということです。

 

例えば以下の写真はConservancyの報告書です。

Conservancyの報告書から

 

SDGsを意識しながら、野生生物の保全状況だけでなく、日々の保全活動を地域の発展にいかに繋げるかを強く意識しているのが印象的でした。

 

アフリカにおける野生生物保全活動は植民地時代の影響から、欧米が持っている自然観や保護理念に基づきそれを実現する、というトップダウンな形で行なわれてきました。現在アフリカに存在する多くの自然保護区は、そこに住んでいた地域住民に立ち退きを強制し、さらに狩猟などの生業を制限した上で設置されたものです。

 

このような背景からか、保全活動を優先するあまり地域住民の声が無視される例は度々アフリカ内で起こっています。

 

僕自身、野生生物保全活動は素晴らしい活動だと思っていますが、こうした人間を無視した野生生物保全活動には反対です。

 

これからのアフリカにおける野生保全は自然だけを優先するだけでなく、地域住民の生活を向上させる手段であるべきだし、(勿論、全くもって簡単ではありませんが)向上させることは可能だと思います。

 

「野生生物保全」「地域社会の発展」は二律背反の関係にあるのではなく、車の両輪なのです。Oloisukut Conservancyでの活動を通じ、そのことを強く感じました。

僕はOloisukut Conservancyで得たこの教訓を大切にしながら、これからもアフリカの野生生物保全の現場で活動していきたいと思っています

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

もしよろしければ、少しでいいので記事の感想を僕宛にぶつけて貰えると嬉しいです。次回以降、よりよい記事を書くために是非役立てたいと思います。

それでは!!