ウィズ・コロナ時代。オンラインセミナーやオンラインツアーという新しい形態が展開されている。
そう誰もが気軽に世界を「体験」出来るようになったこの時代に、『スタディツアー/アフリカスタディツアー』を催行し続け、それについて語る意味とは一体何なのか。
拓殖大学国際学部教授の甲斐信好氏と、アフリカ紛争問題ジャーナリスト大津司郎氏による『本気語り』トークライブに参加してきた。
あまりに素敵なキーワードに溢れすぎていたので思わず、レポートとして残したくなってしまいました。
アフリカツアーのエキスパートのお2人に「アフリカ1人旅の心得」も聞いてきたので、ぜひお読み下さい!
イベントの詳細についてはこちらfa-edit
この記事の目次
登壇者プロフィール
松下政経塾3期生。政策集団・自由社会フォーラムを経て、1988年より政経塾スタッフ(研修主担当、京都政経塾塾頭、広報主担当など)2000年より拓殖大学国際開発研究所研究員、2008年より国際学部教授、2019年より学部長へ。
アフリカ50年以上(現地往復180回)。ソマリア、南スーダン、コンゴ、ルワンダ、アンゴラ、イラクなど紛争地取材、日本のメディア(テレビ他)でレポート多数。1970年、船でアフリカ渡航以来、サハラ干ばつ救援委員会設立、現地渡航(ナイジェリア、チャド)、青年海外協力隊(タンザニア)、アフリカ関連テレビ番組コーディネーター、アフリカ・ツアーガイドなど180回ほどアフリカを往復現在に至る。
スタディーツアーの意義について
大津司郎さん
人間的困難・資源をめぐる争い・時代的な問題、すべてがアフリカに凝縮されている。
だからこそあえて、紛争地域などには学生はつれていけないが、ギリギリのリアリズムの究極の場所にふれるだけで、よくも悪くも触発される。そういう場所を提供したい。
紛争とか戦争はネガティブに捉えられるが、リアリズムの観点からいって戦争を知ってはじめて理想を語ることが出来る。
理想を語る前に等身大の世界をみよう。
それがスタディーツアーの目的になっている。
いくらオンラインが根付いたとしてもリアル・現場・シーンにどれだけ自分がいられるか。そこからどれだけ学べるか。
握手の感触、ハグの感覚、におい、風・・・これからを感じ取るセンス・直感は生きている限りなくならない。
直感を磨かないかぎり人間は生き残れない。
まずは、リアル、現場があってこその「生きる」ことなのではないか。
甲斐信好教授
今の学生達は貧しさ、生と死、苦しみ、家族の絆をリアルに感じる機会が少ない。キベラスラム「絶対的貧困」、生か死かが日常の中で現れてくる強さがある
暗い闇だからこそ、明るい光が見えてくる。コントラストがありありと感じられる。
国際政治は戦争をやめるための学問、人間を知ることから始める。平和のためにはなぜ戦いが起こるかを知る必要がある。
留学が出来ない、移動が出来ない。オンライン留学・授業が主流になっていくなか、それらも素晴らしいが、それとは別に現地にいかないとわからないことがある。
スラムの匂い・熱・生きているエネルギーは現場でないと感じられない。
アフリカ1人旅での注意点
僭越ながら、お2人に質問させていただきました。
旅のありかたは多様化しているが、アフリカ経験の多いお2人に
アフリカ旅のセキュリティーについてお伺いしたい。
大津さん
とにかく何があっても街中・村などでの誘拐だけは絶対にあってはならない。怪我をした、盗られた、病気になったなどとは周りにかける迷惑のレベルが違う。
ではどう防ぐか、、それは情報ネットワークの強化につきる。現地のドライバー、宿の人、現地の人への謙虚な姿勢、学ぶ姿勢、そしてリスペクトを忘れないこと。
サバイバル力=個人の免疫力・文化・対人・環境すべてにおける免疫力につながっている。
甲斐教授
大津さんと同じくまずは、信頼すること、リスペクトすること、学ぶこと、現地の人へのリスペクトはとても大切。
スタディーツアーで数多くの学生たちを見てきて、「この子は大丈夫だな。」と思えるのは一歩進む勇気ではなく、一歩引く勇気があるかどうか。
ここがセキュリティーの分かれ目になる。
Korinの所感
全くの想定外となった今の世界
- 旅が出来なくなった
- 大切な人に会えなくなった
- 冒険が出来なくなった
- 現地を離れざる終えなくなった
人々はそれを「分断された世界」ともいう。
「オンラインがあって良かった」
それは私も心から思う。友人とも画面を通して顔を見れるよろこび、話せる喜び。
いろんなオンラインセミナーが企画され、開催され、以前よりもきっと世界は近くなった。
それでもどこか、会えば会うほど、話せば話すほど、学べば学ぶほど、どこかに寂しさがあった。
的確な言葉も表現も、原因さえもわからない寂しさ、それがお2人が繰り返し語った、「におい、風、空気」そういった”人の生きている温度の欠落”なのかもしれない。
オンラインで世界を広げ、興味をどこまでも広げていく。今の時代はとても恵まれている。
オンラインの強み、オフラインの強み、今はバランスが失われている両者がほどよいバランスを取り戻した時、私達は「新しい世界の扉」の前に常に立つことが出来るのではないだろうか。
気になるイベント情報
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