皆さんこんにちは。
第2弾読んで頂き有難うございました。大分間が空いてしまいました。
初回の記事はこちら↓
第2弾はこちら↓
読んでいる方が中だるみしないような記事を書こうと努力している保坂です。
今回の第3弾のテーマは、
「ルワンダの社会課題とビジネス」
です。最近では、僕の大学の地横浜開催のTICAD(アフリカ開発会議)でも、ルワンダでの、ルワンダ発のビジネスが大変盛り上がっておりました。
KOBE START UP AFRICAのご縁で僕もTICADの神戸市のタイガーモブブースに立たせてもらってました。
今回はお固そうなテーマですが、
- 旅行のみならず海外でも働いてみたい
- ルワンダもその候補地の1つかも
そんな方にも響く記事になるよう努めます。
具体的には、渡航プログラムの目的の1つでもあったスタートアップ企業視察での見聞を通して、
・ルワンダにはどんな社会課題があり
・それをどうやって解決し
・人々がどんな思いで働いているか
について僕なりに考察していきたいと思います(記事を書くことで僕自身も再整理出来ました)。
前提として、2週間の中で視察した業種もバラバラですし、母数もそんなに多くはありませんのでこの記事の内容は一例に過ぎないです。
それでは本題。
本弾では、合計で7つの事業を視察した中から特に印象に残った(印象的なエピソードのあった)以下の4つ
①Zipline(医療ドローン)
②Babyl Rwanda(遠隔医療)
③コーヒー農園
④Gasabo dairy(ガサボ地区の乳製品会社)
についてご紹介します。今回もルワンダを疑似体験して頂けたらと。
1Zipline(医療ドローン)
ドローンによってピンポイントに輸血製剤を運ぶ事業を展開している、アメリカ発の企業。
ルワンダの方と欧米・欧州の方が働いていました。
僕の大好きな番組、「世界の果てまでイッテQ!」でイモトアヤコさんも訪れていた場所、最近では豊田通商が投資したのもニュースに。
ご覧になったことがある方も多いのでは。
このプログラムで僕が最も楽しみにしていた企業です。
ドローンは高度2000mを飛行し、機体に着けられたQRコードから位置情報を把握。実際のドローンの離着陸(是非動画で見て頂きたい)、AIが飛行を自動制御する様子、ドローンが正常に飛行しているかを社員の方が管理をする様子を見学させて頂きました。
(1)法規制のハードルがアメリカやヨーロッパと比べると低いから。通常の飛行機と同じ扱いを受けるため、航空局の許可が基本的に必要。実際に管制塔が敷地内にあり、空港などと連絡を取りながら運航。
(2)ルワンダの丘陵地形だと陸路より空路が圧倒的に輸送効率が良いから。ルワンダでは、丘陵沿いに道路が整備されているため直線距離で近い場所もかなり時間を要する場合もあります。一方、空路は高低差関係なく直線距離で輸送できるためルワンダでは大変有効な手段です。
現時点では、人命に関わる緊急を要する血液製剤のみを扱っています。山奥の農村地域で、出産時に流血する母親を救うなどに活躍。
あくまでも人道的な理由でドローン輸送を行っていて、僕の印象ではビジネスというよりも一分一秒を争う医療現場の雰囲気を感じた。
もし制御が効かないほどの損傷を機体が受けた場合、AI制御で人のいない着陸サイト(元から設定されている場所に)緊急離脱着陸が可能。他にも羽が損傷しても飛行できるように翼(カーボン製)と機体の分離が可能。リスク管理が何重にもされているそう。
ドローンでものを運ぶという画期的な技術ばかりに目が行っていたが、Ziplineの理念を現場の方から直接伺ったことで見方が一変した。
血液製剤が無ければ死んでしまう人がいる。だからドローンなのであり、インフラが無いからドローンを飛ばして、それでお金を儲けてという会社では決してない。
ただ飛ばせばいいってわけではない。ドローンは手段、テクノロジーは手段ということを体感。日本、日本人に置き換えたら何が何でも運んでほしいものって何だろう。
2Babyl Rwanda(遠隔医療)
Babylon Healthというロンドン拠点の遠隔医療サービスのスタートアップがルワンダで展開している会社。
遠隔医療と言っても日本の医者がルワンダの患者を手術するようなものではなく、スマホやガラケーで入力された問診票をもとにAI診断によって医者同様の診断を受けられるというサービス。
ルワンダのスマホ使用率は10%程度だそう。スマホは診断アプリを使う。
ガラケーでもどうやって問診するかというと、「USSD」というシステムを使う。電話回線でアプリと同様の機能を使える仕組み。海外では常識だそう。
このような医療スタートアップが必要とされる理由も伺った。
ルワンダの医師は全国で約1200人。首都キガリで約600人。一人の医師が約14000人を見ていることになるという。(人口1200万人)WHO(世界保健機関)は4000人あたりに一人の医師を推奨しているので、全く足りていない。
だからこその遠隔医療診断。
10%程度の患者は休息を薦めるだけの診断だそう。症状、状況に応じて看護師に電話がつながったり、その後実際に薬局、病院に採血を受けに行ったりする。
実際に看護師の方が会社の中で電話相談している様子も見た。一見ただのコールセンターのような雰囲気。
半恒久的な医療システムにするために利用患者からお金を取って運営運営している。現段階では利用料2700Rwfのうち200Rwfが利用者の負担、残りは保険会社が負担。
スマホは持てないけどガラケーは持てる人にサービスを届けるUSSDの仕組みに驚き。僕にとっての既成概念、「スマホを持ってる人しかサービスを受けられない」が壊された。
早急な診断や治療を必要としている人がいて、病院への物理的な距離を縮めるのなら(ルワンダでは近くの病院まで丸1日かかる場合も)ITに可能性を感じた。医者の負担を減らすというよりも医者が携わるべき仕事に従事してもらうことで医療の質を高めるという、Babylのあくまでも人思いなところがとても気に入った。
帰国後福島県を訪れた際、日本でも病院が遠い地区なんて沢山あるよなあなんて思うようになったのもこの会社を訪問したことがきっかけ。
ルワンダで体調を崩したら「*811#」でBabylに繋がります。
3コーヒー農園
約15haのパスカルさんのコーヒー農園にお邪魔。コーヒー農園は新しい気づきの連続。そもそも焙煎されてないコーヒー豆を見たのも人生初。
箇条書きでいきます。
- コーヒーの木は直射日光を好まない
- 水に浮かない豆は高級品
- コーヒー豆の洗浄をするwashing stationというものがある
- コーヒーは買取価格が政府に決められている(バナナとは違う)
- ルワンダに大きな天候災害はない
- マルチングというコーヒーの成長に欠かせない作業(苗木の周りに枯れ木やバナナの皮を敷き詰めて肥料とする作業)にこの農園規模で年100万円かかる
- 苗を植えてから初収穫まで3年かかる
- 農園経営を始めたのは周りにコーヒーで儲けている人がいたから
印象的だったことが3つ。
1つ目は、ルワンダの地方の電力供給が太陽光発電だということ。
必要最低限の電力を地産地消していた。この農家が比較的裕福だっただけかもしれないが、移動中のバスから数多くの太陽光パネルを目にした。丘陵地のルワンダに電線を引くメリットはなさそうだし、国民の80%が農家で家同士の距離もかなりある。太陽光発電が活きるってこういうことなんだなあと実感。
結果、ルワンダのこの地に売りに来てる人がいるという事実も認識。再生可能エネルギーを研究している立場から見てしまった。
2つ目は農園で働いていた女性の話。
彼女は日給1250Rwf程度(米1kg5000Rwf)。かなり安いがルワンダで農園持っていない農業従事者の一般的な給料だそう。
驚きだったのはその女性が1日800Rwfは貯金しているという事実。子供のために貯金している話を聞いてお金の使い方を考えさせられた。
自分は無駄なもの買ってないっけと。日本だったら日給150円で100円貯金してる計算だよ?考えられる?
どこかで聞いた「買い物は投票」っていう言葉がびくっときた。この方は子供の未来に期待して投票してんだなと。
3つ目はルワンダ地方ではコーヒーなんて飲まれていないうえに知られていないという皮肉な事実。
コーヒーは輸出作物だから、他のフルーツとか肉みたいにマーケットに売ってるなんてことはない。
生活がかかってるとはいえど、何を作ってるかすらわからないまま作り続けるのはどうなんだろう。お金のためだから割り切ってんのかな。仕方ないことなのかな。なんて気になりました。
4Gasabo dairy
第2弾で登場したウムガンダを行ったガサボ地区にある、まだこぢんまりとした乳製品屋さん。
大手のような大量生産はしてないが、保存料を使用しないから地元の人に人気の牛乳屋さん。
なぜ「まだ」なのか。それは後程。
この会社の視察は他の6つの視察と違って、視察後に僕たちが二日間かけて案を練り、経営改善の提案をGasabo dairyの社長に行うというプログラムがあること。
だから、毎朝どこからミルクを仕入れてどうやってどこに売って、という話を社長のJosephさんが沢山聞かせてくれた。
僕は少しでもこの会社のことを理解しようと必死だった。
保存用の冷蔵庫がもっと必要だけど買えない、パッキングの容器、工場とは呼べないような狭いスペースでの作業、乳製品のコストなど様々な課題があることを悩みとして、改善のヒントとして教えてもらった。
最終的に僕たちが提案したのは「CM広告」のようなもの。ルワンダで流行っている言葉をAI作曲アプリのリズムに乗せてガサボ地区の人たちと歌った動画を披露した。
でもルワンダでは店頭で大きな音を出す、音を出す広告カーなどは法律で禁止されてるんだって。
残念な気持ちと新たな学びを得た。
他の班は、会社のロゴを提案してたり、新製品のフルーツジャムヨーグルトを提案してたり(この班が優勝)。優勝した班は実際に店頭販売しにいってて、他の班は2日間頭で考えてただけだったのが差かな。
僕たちの帰国後、Josephさんは大学で7人だけ選ばれるアントレプレナー(起業家)プログラムに選出されたそう。そのつながりでイスラエルのテルアビブに11か月の農業研修に行くんだとか。
そのプログラムで、かっこいいロゴも作ってたしインスタもはじめたようで。
Gasabo dairyのインスタグラムはこちら↓
https://instagram.com/gasabodairy?igshid=bwqe8otl9k88
ただの乳製品屋さんで終わらなさそうでしょ。
経営改善ってかっこいい言葉使いがちだけど、結局は地道に動いて相手の近くで同じ目線でやるしかないんだと実感。会社を大きくして家族を支えたい、というJosephさんの熱意を裏切るような提案はもってのほか。
新しい価値、お金の循環を生み出す、お金を稼ぐって簡単じゃないなと実感できただけでも収穫。
特に頭とか計算とかで考えがち、それっぽいこと言いがちな自分は要注意だと感じた。
まとめ
まず、今回の企業視察は本プログラムの中で肉体的にも精神的にも重いセッション。
その理由は、各事業視察1時間~2時間程の限られた時間内で、自分の目で見て・聞いて・触れて・聞いてを繰り返すため。
毎朝の朝礼時に聞きたいことを考え、視察の中でも頭を巡らせ、気になったことは質問し、夕礼で振り返ってかみ砕く。
ルワンダではそんな毎日を過ごしていました。
気づけばノート一冊が埋まるほど。でもその結果こうして記事にまとめることが出来ているのでメモ取るのも自分の強みかも(最近はiphoneのメモアプリ多様中)
日々の気づきとか大事にしてると後で役に立つかもしれませんよ。
人生に無駄無し!!第3弾以上!!
第4弾は、ルワンダでの2週間のうち4日間を費やした、ドライフルーツビジネスチャレンジの一部始終を簡単にお伝えできたらと思います。
それでは!!