私が出会ったのは「1人のファイター」。レソトで出会ったトラディショナルヒーラーという人々-渡邊莉瑚

こんにちは、Palesaです!

今回はレソトで出会ったトラディショナル・ヒーラーについてお話しします!

 

トラディショナル・ヒーラーは簡単に言うと占いをしたり、伝統医療といって病気などを治したいときに頼られたりする人のことです。また、パフォーマンスとして歌やダンスを披露することもあります。

 

ヒーラーはレソト以外の場所でも会うことができるのですが、もちろんそれぞれ特徴があるので今回はレソトのヒーラーについて紹介します。

 

トラディショナルヒーラーがいる社会

私はハ・セカンツィというレソトにある小さな村に行ったときにそこに住むヒーラーに出会いました。

 

ドンキの皮で作られた太鼓を叩き、祖先から受け継いだ伝統的な歌を歌いながらパフォーマンスをしてくれました。

 

パフォーマンスが終わった後、そのパフォーマンスを見た人たちはお金を払わなければいけないので(請求はされませんが暗黙のマナーです)お金を払います。

 

すると、ヒーラーはそのお金を受け取るためのちょっとした儀式を行います。

 

そしてその後は家の中に入り、お酒を飲みながらひたすら腰と肩を揺らして踊り歌います。

 

最初はヒーラーだけが歌って踊っていたのが次第に村人たちが加わり、いつの間にかただのパーティになっていました。

 

なぜ彼女がパフォーマンスをしたり占ったり伝統医療を施したりできるのかというと、祖先と繋がることができるからです。詳しくは教えてもらえなかったのですが、その祖先とのつながりが彼女をヒーラーたらしめるものなのです。

 

彼女は父親がヒーラーで、彼の影響を受けてヒーラーになったそうです。ヒーラーは必ずしも世襲されるものではなく、下記のステップを踏みます。

  1. イニシエーションスクールに行く
  2. リクルーターによってリクルートされる
  3. 伝統医療に使うハーブの使い方などヒーラーに必要な技術をリクルーターから教わる
  4. 正式なヒーラー

 

イニシエーションスクールは子どもが大人になるための通過儀礼として通う学校で、2週間から長い場合は3ヶ月ほど山の中で暮らし、伝統について学んだり、結婚生活について学んだりして大人になるための準備をします。

 

この学校は以前はレソト国民のほとんど全員が通う場所だったので特に珍しいものではありません。(現在は都市に住んでいて行かない子どもも多いそうです。)

 

そのため、ヒーラーになるためには3,4のステップが必要なのです。

 

減りゆくヒーラーという職業、彼女が戦うものは

こうしてヒーラーになった彼女に、自分がヒーラーであることについての思いを聞く機会があり、彼女はヒーラーという伝統を後世に残していきたいという強い思いを語ってくれました。

 

なぜならレソトではキリスト教が広く普及しているのに加え、イニシエーションスクールに通わない子も増えてきたために、このトラディショナル・ヒーラーという存在が確実に減ってきているからです。

 

ヒーラーである彼女は実はキリスト教徒でもあるのですが、のようなヒーラーに対して差別をする人もいるそうです。

 

彼女はキリスト教とトラディショナル・ヒーラーは必ずしもどちらかしか信じてはいけないものではなく、同時に共存できる存在だと言います。そのため、このような偏見をなくし、伝統を残していくためにも多くの人々にヒーラーについて伝えていきたいと語っていました。

 

よくテレビで見るアフリカの占いはうさん臭く受け取られることが多いと思います。しかし、実際に私が出会ったトラディショナル・ヒーラーは、代々伝わるヒーラーとしての伝統に誇りを持ち、その伝統が失われていく中でそうさせまいと必死に戦う一人のファイターでした。

 

この美しい伝統がなくなってしまわないことを祈って。

 

今回も読んでいただきありがとうございました。

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