カメルーンの世界遺産であるロベケ国立公園内のゾウは、2002年~2015年に個体数が半減
2014年と2015年には、1年で60本以上(30頭以上の犠牲)の象牙がロベケ国立公園当局により押収された。
多くの野生生物が生息するロベケ国立公園では、レンジャーたちが森に入り、密猟取締パトロールを行っています。
その野生動物を守る活動で使用するランドクルーザーの走行距離は、地球約5周分である20万キロ近くになっています。
いったん雨が降れば、泥の海と化す広大なジャングル。彼らの活動には、道無き道を移動する丈夫な車両が必要不可欠です。
幾度のパンクも修理を修理を重ね、使い続けてきましたが、エンジンが劣化して、長距離を走ることができなくなってしまったランドクルーザーは、引退直前。
野生動物を守る活動を続けるために、後継車を購入したい!
みなさまの力をどうか貸してください。
この記事の目次
NPO法人 UAPACAA(ウワパカ)国際保全パートナーズ
ウアパカ・パートナーズは、アフリカは中部にあるカメルーンという、日本の皆さまにはサッカーで良く知られた国で、ゴリラやチンパンジー、そしてマルミミゾウといった大型野生動物と自然保護の活動をしている団体です。
代表である岡安 直比 (おかやす なおび)さんは、すでに7年前から現地のロベケ国立公園との連携を続けていますが、その間にもっとも苦労しているのが、「国際武装密猟団との闘い」です。
中でも、現場のレンジャーをはじめとするスタッフが、最新鋭の機材を揃えた武装集団と対峙するのは、まさに命がけの想像以上に大変な仕事。
せめて現場へたどり着く足だけでも、遅れを取らずに済むような頑丈なランドクルーザーを支援したいと、クラウドファンディングに挑戦されています。
カメルーンで起きているゾウの犠牲
GPSや衛星電話などの最新機器を駆使し、国境を越えてゾウの群れを襲う神出鬼没な国際密猟団。
現在、岡安さんが活動しているカメルーン共和国でも、中北部のブンバ・ジダ国立公園で、2012年には2カ月で500頭以上のゾウの犠牲が出ています。
今回の支援対象地であるロベケ国立公園のパトロールで発見されたゾウの遺骸。
このように象牙のためだけに殺されたゾウが、一カ所に何頭もまとまって発見されることも珍しくなくなってしまいました。
この新しいタイプの密猟団は、カラシニコフ自動小銃など破壊力のある兵器を使って、短時間に群れを皆殺しにして逃亡する、極悪非道なやり口です。
地域の人たちが長年共存してきた、自然や野生動物の世界を破壊し尽くそうとしています。
WWF(世界自然保護基金)のアフリカ中部事務所が2017年に発表したレポートでは、カメルーン、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国、ガボンの主だった保護区の20%をカバーする地域で、過去8年間にゾウの数が3分の1まで減ってしまった、というショッキングな数字が出ています。
このような大量虐殺は過去に例がなく、前述のブンバ・ジダ国立公園の事例でカメルーン政府がコメントしたように、「国際的な略奪行為が始まった」と言っても過言ではありません。
しかもその影響をもろに受けるのは、自然に最も密着して暮らしてきた地元の人たちなのです。
ゾウのようなジャングルの生態系の頂点で暮らす動物がいなくなってしまうと、ゾウが果実を食べることで、種が蒔かれていた植物も育たなくなり、ジャングル自体が消滅してしまうとまで言われています。
カメルーン「ロベケ国立公園」と必要な支援について
カメルーンでも最奥部、東部州の南東端に位置
2012年の6月に自然の豊かさが認められ3カ国にまたがる世界遺産に登録され、国際的にも名が知られはじめています。
ロベケ国立公園に迫る脅威
そんなロベケにも、グローバリゼーションが引き起こす新たな脅威は、待ったなしで迫っていました。
ブンバ・ジダ国立公園やザンガ・サンガ保護地域で顕在化した、国際密猟団による密猟への対策も喫緊の課題となり、急遽、日本でも支援を募り、現場のパトロールなどの足となる車(ランドクルーザー)の購入を支援。
WWFカメルーンを通じ、国立公園の保全活動に役立てられています。
その後WWFジャパンでは、野生動物の違法取引撲滅キャンペーンの終了と同時にアフリカ中部のプロジェクト支援も終了。
しかし、2016年に発表されたWWFロベケレポートでは、国立公園内のゾウが2002年以降、半減してしまったという結果が出ており、現場ではキャンペーン以降も密猟撲滅のための必死の努力が続いています。
支援地ロベケ国立公園に隣接する他の国立公園では、同じ時期に実に3/4のゾウを失い、今では痕跡もみるのは難しくなってしまったとのこと。
ランドクルーザーが必要です
自然保護の世界で特に気をつけなければならないのが、いったん開始した現場活動は、一定レベルに達するまで根気強く続けないと、始める前より悪くなるというジンクスです。
そこで岡安さんは、ロベケを初め担当した現場の支援を続けるためWWFジャパンを退き、2018年初めに自分でNPO法人UAPACAA国際保全パートナーズの立ち上げに取りかかり、活動を続けてきました。
ロベケでも、パトロールの機動力確保のための資機材の維持管理、レンジャーの育成、野生動物のモニタリングの精度向上や地域住民の生計向上など、やるべきことは山積しています。
昨年の6月から、アフリカやアジアの野生動物を守る活動を、現地のWWFや国立公園の事務所と協力して開始しました。
5年前にWWFジャパンが支援したランドクルーザーは、ロベケ国立公園のパトロール、野生動物の定点観察、ゴリラの人づけサイトなどへのスタッフの送迎に、地球約5周分である20万キロ近くを走り続けました。
新車でしたが、エンジンが劣化して、そもそも長距離走行に耐えなくなっています。
支援後のランドクルーザーの使い道
みなさんのご支援で新しく購入するランドクルーザーは、以下の活動のために大切に使われます。
密猟取締パトロール
レンジャー6~7人が一組となり、2週間ほど国立公園のジャングルを歩いて回ります。
ランドクルーザーは、各拠点への送迎に使われます。
ロベケの場合、国境に接しているので、特にその地域を重点的にパトロールする必要があります。
取締ですから、密猟者は見つかれば逮捕されて牢屋行きです。
ただ、密猟者側も高度に武装している可能性があるので、レンジャーも命がけです。
野生動物モニタリングのための定点観測
ロベケ内に7カ所ある定点観察のための観察台まで、歩いて6キロ~20キロぐらいですが、その森の入り口までは、公園事務所から林道を通って25km~100kmほどあるので、送迎に車両が使われます。
観察台からは、水草スワンプ(湿地帯)を見晴らすことができます。
そこに出てくる動物を、朝6時から夕方4時まで観察し、種類と頭数をモニタリングすることで、野生動物の減少をいち早く知ることができます。
今日もこれからもこの場所で活動を続ける
アフリカと自然保護の世界に足を踏み入れて、30年。
現場の息の長い活動の大切さが身に染みている岡安さんは、残されたライフワークのひとつとして、ロベケ国立公園の保全に取り組んでいます。
ナイロビからエチオピア航空で、アフリカ大陸を初めて横断した1988年、真緑のモコモコの絨毯が何千キロも続く、コンゴ盆地のジャングルの迫力に目を奪われたそうです。
そんな中では、太古の昔からジャングルを利用し、野生動物の狩りも生業として暮らしてきた地元の人々の世話にならなければ、生きていけません。
付き合えば付き合うほど、自然を知り尽くした彼らの知恵の奥深さに魅了されました。
せっかく上手に共存してきた、人と自然のバランスを壊すのは誰なのか?
どうすれば、それを取り戻すことができるのか?
アフリカに通いはじめて以来、ずっと自問してきた問いは、「動物保護区をつくる」といった単純な答えでは、解決できるものではありませんでした。
地域ごとに人々の生活様式は千差万別、自然環境も多種多様。
各々の事情を理解して、きめ細かな対策を地道に進める以外ないのです。
そこに、超現代的な新しい問題の出現です。
新たに直面している「外部侵入者」からの防御を完璧にするには、地元コミュニティとの連携が欠かせません。
今までは国立公園当局は取り締まり、コミュニティは取り締まられるという、対立する間柄でしたが、これからはより大きな脅威に対抗するために、どう良好な関係を築けるか。これがないと前に進めない正念場に差し掛かっています。
こういったソフト面での仲介役も、NPOのような団体ならではの貢献として、取り組んでいきます。
ぜひ、野生動物を守るために、私たちの仲間になっていただけませんか。
みなさまの応援をよろしくお願いいたします。