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これは何ですか?~指示詞~
「指示詞」早わかり表
スワヒリ語の名詞は15種類のクラスに分かれています。「これ」「それ」「あれ」などの指示詞も、指している名詞のクラスによって変化します!下の表は、それぞれの名詞クラスに対応する指示詞をまとめています。
クラス | 語例 | この | その | あの |
⒈ m- | mtoto 子供 | huyu | huyo | yule |
⒉ wa- | watoto (複数) | hawa | hao | wale |
⒊ m- | mti 木 | huu | huo | ule |
⒋ mi- | miti (複数) | hii | hiyo | ile |
⒌ ji- | jiwe 石 | hili | hilo | lile |
⒍ ma- | mawe (複数) | haya | hayo | yale |
⒎ ki- | kitu 物 | hiki | hicho | kile |
⒏ vi- | vitu (複数) | hivi | hivyo | vile |
⒐ n- | nguo 服、布 | hii | hiyo | ile |
⒑ n- | nguo (複数) | hizi | hizo | zile |
⒒ u- | ulimi 舌 | huu | huo | ule |
⒖ ku- | kusafiri 旅すること | huku | huko | kule |
⒗ pa- | mahali 場所(特定) | hapa | hapo | pale |
⒘ ku- | mahali 場所(不特定) | huku | huko | kule |
⒙ mu- | mahali 場所(~の中) | humu | humo | mule |
スワヒリ語の名詞クラスについては、第9回「○○はどこですか?」の小森先生のコラムで少し登場しているのでぜひ参考にしてみてください!
▼第9回目のコラムはこちらから▼
▼第1回目のコラムはこちらから▼
ここで少し解説しておくと、スワヒリ語の名詞クラスは15ありますが、それぞれに番号がついています。
12、13、14は欠番です(これは、昔あったけど、今はもうないクラスです)。
1番のクラスは、名詞がm-で始まるものが多いので、「mクラス」と呼ばれたりします。mtoto「子ども」もそうですね。
それで、「この子ども」と言いたい時には、1クラスの指示詞「この」はhuyuなので、mtoto huyu となります。
「本」はkitabuでしたね。kiで始まる7クラスです。なので、「この本」と言いたい時は、7クラスの指示詞「この」hiki をつけて、kitabu hiki となるわけです。
この仕組み、分かっていただけましたでしょうか?
これは何ですか?
1) Hiki ni nini?
→「これは何ですか?」※もの・料理などを指して
発音: ヒキ ニ ニニ?
返答例: Hiki ni kitabu cha kiswahili. (ヒキニ キタブ チャ キスワヒリ)
→「これはスワヒリ語の本です。」
もの (thing) を表すスワヒリ語は "Kitu" (キトゥ) 、食べ物は "Chakula"(チャクラ) で、どちらもKiクラスに入ります。なので、これらを指すときは、 "hiki" を使います。
また、外来語やその他多くの単語はNクラス(単数は9クラス、複数は10クラス、単複同形です)に入ります。
例えば、Nクラス(9クラス)の「野菜=mboga (ンボガ)」 を指して「これは何?」と言うときは "Hii ni nini?" (ヒイ ニ ニニ?) となります!
こちらもよく使うので覚えておきましょう!
この服を買いたい!
2) Nataka kununua nguo hii.
→「この服を買いたいです」
発音: ナタカ クヌヌア ングオ ヒイ
返答例: Ni shillingi elfu mbili. (ニ シリンギ エルフ ンビリ)
→「2000シリングです。」
「この○○」と言うときは、“この”にあたる語を名詞の後に付け「○○+指示詞」となるようにします。ここでは、nguo (服)+ hiiで「この服」となります。 ※「nguo」の名詞クラスはNクラス(9クラス)
この人は誰ですか?
3) Huyu ni nani?
→「この人は誰ですか?」
発音: フユ ニ ナニ?
返答例: Huyu ni Bwana Suzuki. (フユ ニ ブワナ スズキ)
→「こちらは鈴木さん(男性)です」(BwanaはMr.)
「人」はスワヒリ語でMtu (単数)、Watu (複数)といい、名詞クラスはM-Waクラス(1,2クラス)になります。人に関する名詞の多くはこのクラスに分類されます!人を紹介するときも、“Huyu ni ○○.” と○○に名前などを入れて使います。
例
・Duka hili (このお店) [duka=jiクラス(5クラス)]
では、指示語を使った会話例を見てみましょう!
会話例
A:Kitu hiki ni nini?
「この品物は何ですか?」
B:Hii ni ngoma ya Afrika.
「これはアフリカの太鼓です」
A : Nataka hii pia.
「私もこれ欲しい!」
B:Unaweza kununua duka lile.
「あのお店で買えますよ~!」
いかがでしたか?指示詞はバリエーション豊富で覚えるのが大変ですが、どんな場面にも役に立ちます!ここで出てきたような会話によく出る単語から覚えてみてください!
第14回はこれで終わりです。みなさん、ここまで見てくれて、Asanteni sana! どうもありがとうございました!
それでは Kwa herini! さようなら!

こんなのを載せると、こういう気楽なオンライン学習講座の読者はドン引きしてしまうのは、よく分かっています。クラスだって、「1クラス」とか「2クラス」なんていう呼び方ではなく、「m-waクラス」という方が分かりやすいのも、分かっています。でも、大学教員の血が騒ぐ! スワヒリ語はこんなややこしいところもあるんです! ちゃんと、みんな文法をマスターして! と、言いたいわけです。でも、まぁ、「スワヒリ語って、どんなもんかな?」、「こんどケニアに行くんだけど、スワヒリ語もちょっと知っておきたいな」という読者のみなさんには、こんな細かい規則は、不要ですよね。
じゃ、このややこしい指示詞、いちいち名詞によって変えるのは面倒、という初心者はどうすればいいか?
そんな時に便利なのが「9クラス」。うーん、一般には「nクラス」というかな?これは、外来語なんかが入るクラスで、つまり、何でもOKのクラス。このクラスの指示詞「この」はhii。だから、どんな名詞でも、とりあえずhiiと言っておけばOK!「このオレンジ」chungwa hii(正しくは、chungwa hili)
「このベッド」kitanda hii (正しくは、kitanda hiki)
「このカバン」mkoba hii (正しくは、mkoba huu)
「この子ども」mtoto hii (正しくは、mtoto huyu) てな感じで、なんでもhiiで通じるので大丈夫! まぁ、ネィティヴにはちょっと変に聞こえるだろうけど、それは、たとえば、外国人が次のような日本語を言ってくる感じかなぁ。「この本1個ください!」
「ユニクロのTシャツを5個買いたいんです」
「私には子供が4個います」
「タクシーを2個、呼んでくれますか」 まぁ、これで通じる程度には通じるので、みなさんも胸を張ってhiiで通してください(^^)/