第5回スワヒリ語学習室【あいさつ編】 その他のあいさつ

まだまだある!よく使うあいさつ

こんにちは。ALL ABOUT AFRICAスワヒリ語学習室です。

 

第1回からご紹介してきたあいさつ編。「こんにちは」や、「お元気ですか?」の表現はもうバッチリですか?

 

今回はこれら以外のあいさつについて、代表的なものを学んでいきます。あいさつが大切なのはスワヒリ語圏も同じです。頑張って身につけてくださいね!

 

その他のあいさつ

 

1) Asante.
→「ありがとう」

発音: アサンテ

返答: Bila asante.  ビラ アサンテ
Si kitu.  シ キトゥ
Si neno.  シ ネノ

お礼を言うときによく使うあいさつ。「本当にありがとう」と、感謝の気持ちをもっと伝えたいときは後ろに「とても」の意味の sana をつけて Asante sana! アサンテ サーナ! と言いましょう。また、複数の相手に「ありがとう」と言いたいときは、語尾に~niをつけて Asanteni. と言います。「どういたしまして」にあたる言葉は主に上記の3つになります。bila は「~なしで」の意味で、英語でいうと without になります。kitu は「もの」で、neno は「言葉」です。si がつくことで否定のニュアンスになります。

 

 

2) Samahani.
→「すみません」

発音: サマハニ

返答例: Bila samahani.  ビラ サマハニ
Usijali.  ウシジャリ

日本語の「すみません」には複数の意味合いがありますよね。スワヒリ語の Samahani も同じです。相手に謝るときの「ごめんなさい」の意味にもなれば、相手を呼び止める「(ちょっと)すみません」の意味にもなります。相手に謝られて「気にしないで」と言いたいときは、Bila samahani. か、 Usijali. と言いましょう。U は 「あなた」、si は否定、jali は「気にする / 心配する」という意味の動詞です。

 

 

3) Hodi.
→「ごめんください」

発音: ホディ

返答例: Karibu.  カリブ

相手の部屋にお邪魔するときに使います。扉などをノックしながら言うのが一般的です。「お入りなさい / ようこそ」の意味の Karibu ですが、部屋に入ってきた人の数が複数の場合は ~ni をつけて Karibuni. と言います。また、相手に何かをわたすときに Karibu ○○ と言えば、「○○をどうぞ。」という意味になります。

 

 

4) Pole.
→「お疲れ様 / ドンマイ」

発音: ポレ

返答例: Asante.  アサンテ

Pole は相手にねぎらいの言葉をかけたいときに使います。これも、複数の相手に言いたいときは ~ni をつけて Poleni と言いましょうレパートリーが広く、Pole na ○○ と言えば「○○お疲れ様!」の意味になります。Pole na masomo.「勉強お疲れ様」 や、 Pole na kazi.「仕事お疲れ様」など・・・使いやすいフレーズですね。

 

 

5) Kwa heri.

→「さようなら」

発音: クワ ヘリ

返答例: Kwa heri.  クワ ヘリ

「さようなら」と言うときに使います。この場合も、複数の相手に言うときは語尾に    ~ni をつけて Kwa herini. と言いましょう。

 

 

では、会話例を見てみましょう!

 

 

会話例

A:Hujambo? 「こんにちは。」

B:Sijambo. 「こんにちは。」

A:Karibu chai. 「お茶をどうぞ。」

B:Asante sana. 「どうもありがとう。」

A:Bila asante. 「どういたしまして。」

第5回はこれで終わりです。みなさん、ここまで見てくれて、Asanteni sana! どうもありがとうございました!

第6回では自己紹介の言い方についてご紹介します。それでは Kwa herini! さようなら!

Maneno muhimu = 重要単語
asante=ありがとう / sana=とても / bila=~なしで / kitu=もの / neno=言葉 / samahani=すみません / u=あなた / jali=気にする / hodi=ごめんください / karibu=ようこそ / pole=お疲れ様 / masomo=勉強 / kazi=仕事 / kwa heri=さようなら / chai=お茶

 

小森先生のアドバイスコラム

小森淳子 : 大阪大学外国語学部スワヒリ語専攻・教授

ここに紹介されている挨拶、日本人なら必須の挨拶言葉ですね。特に、「ありがとう」と「すみません」。これなしに、日本語のコミュニケーションは成り立たないくらい。

日本語の潤滑油と言ってもいいですね。私たちは「ありがとう」と言うことを忘れず、どんな場面でもすかさず「すみません」を言う。話しかける時はいうまでもなく、自分に非がなさそうな時でも「すみません」。とりあえず、あやまっておけ、みたいな?

これ、良くも悪くも「調和」を重んじる日本人気質のあらわれですね。相手と対立しないための「すみません」。相手の気持ちを害さないための「ありがとう」。

でも、アフリカでは、この価値観、ちょっと違う。相手と対立しないことを、それほど尊ばない。相手の気持ちを害さないことを、それほど気にしない。だから、実はあんまり耳にすることがない、Asante と Samahani。

いや、まったく使われないことはないですよ。小さな子どもがお菓子をもらったら、「Asante は?」って大人に促されて 「アサンテェ~」ってかわいく言う場面はよく見かけますが、それは、大人に対する礼儀を教えるために、という感じ。

大人の普段のコミュニケーションにおいて、日本人が「ありがとう」や「すみません」を使う頻度に比べれば、彼らが Asante や Samahani を使う頻度はずっと少ないし、よほどの場面でしか耳にしない、という感じです。

じゃ、彼らは感謝していないのか、謝罪の気持ちはないのか、と思うかもしれないけれど、何に対して「感謝」し「謝罪」するのか、というのも、文化によって大きく異なると思います。

ちょっとした親切をしてもらったり、物をもらったりして「感謝」するのは、実は「他人行儀」なもの。親切をしたり、物をあげたりするのは人間、お互いさまなんだよ、と思う文化の中では、そんなにいちいち「ありがとう」を言う必要もない。

また、ちょっとした非に対して「謝罪」するのは、自分の罪を認めるようなもの。相手の身に起こるちょっとした「不幸」は、こちらのせいではないんだよ。市場で買ったオレンジ、6つ袋に入っていて、2つが腐っていた。「これ、2つも腐ってたんですけど!」ってお店の人に文句言ったら、「すみません」の一言を待つのが日本人だけど、スワヒリ語なら “Pole!” が返ってくればいい方で、“Bahati mbaya”(運が悪かったね)と言われるのがおち。謝ってもらおうなんて思わずに、さっさと2つ交換してもらおう。

そう! Asante や Samahani に比べて、一番よく聞かれるのは Pole。これはよく使われるので覚えておこう。基本は「相手を慰める」ための言葉。日本語では一語で表現するのが難しい言葉です。

「お気の毒に」とか「お疲れさま」、「かわいそうに」。果ては、お葬式で「ご愁傷さまです」という場面でも使われます。

自分が相手の足を踏んづけちゃっても “Pole!” でOK。日本語なら当然「すみません」の場面だけど、痛がる相手を慰める視点、なんだね。

お葬式で、”Pole sana.” と挨拶すると、”Nimeshapoa.” と返答されます。直訳は「もう癒えました」ですが、まだまだ癒えてなくても、とりあえずこう言うのは、やっぱり挨拶の定型表現だからですね。

 

 

 

 

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